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W-B とある清掃員の日記/7
A1SA-2 愛殺文
従来の大量破壊兵器は“物”を“破壊”した。
しかし核兵器の競争開発の中で生まれた異例の物が愛殺文である。
核兵器との最大の違いは“物”を破壊するのではなく、“その物の定理”を破壊する事。
長らくその存在はワールドブルー社と国家の間で機密になっていたが、数十年前のベーリング海沖で行われた「ベルブルグ定理破壊実験」
で愛殺文が暴走。世界中を混乱に巻き込んだ。
これで“定理破壊兵器”の存在が世に明かされるとワールドブルー社は世界中からバッシングを受けた。
しかし不思議な事にどんだけ株価が下がっても、ワールドブルー社の利益は減るどころか増えていったのである。
噂では世界中の国から注文が殺到したらしいが.....。
幸い現在は愛殺文の製造は中止されている。
だが人とは愚かな生き物だ。常に“頂点”に立ちたがる。
広島、長崎......。あの日、核の恐怖は世界中に知れ渡っていたはずだ。
しかし、どんなに血が降ろうと、どんなに仲間が嘆こうと、人は欲望のままに生き続ける......。