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W-B とある清掃員の日記/15
「なんですか?それは?」
僕は冷たい物を背中に当てられた様な気がした。
「君が知っているようにスットン共和国の隣国ムルス連邦公国は3年前にクーデターが起きて軍隊がいまだに政権を牛耳っている。」
依頼人は声を落とした。
「昨日、我々はムルス連邦に潜伏しているCitrusの1人からとある情報を入手した...。」
「.......一体何の情報ですか?」
僕は居ても立っても居られなくなった。
何か物凄く悪い予感がする。
「.......ムルス連邦の軍事政権がスットン共和国に侵攻しようとしている。まだ準備段階だが、確実に準備は進んでいる。しかし我々が緊急事態と言っているのは.......ムルス国防軍が....その....。」
ここで依頼人はチラリと僕を見た。
「...............スットン侵攻の最初の攻撃にワールドブルー社の......“The Thing”が投下される予定だ。」
僕は開いた口が塞がらなかった。
“The Thing”
信夫が言っていた“愛殺文より酷い物”
まだ僕が何なのか知らない“未知の物”
「あ、貴方は、ど、ど、どうしてワールドブルー社なんかが、あんなヨーロッパの小国のいざこざに関連するなんて考えているんですか?」
戸惑いながら、僕は依頼人に質問した。
「君はどれほどワールドブルー社が歴史の裏で暗躍した知らないだろ。
奴らの支援金はナポレオンやロシア革命、ナチス政権の資金になり、投与した技術は原爆やV2ロケットとなり、経済力はベトナム戦争の戦況を逆転させたのだ。
そもそもスットン共和国にはワールドブルー社にとって厄介なレジスタンスが複数潜んでいる。奴は“戦争”といういざこざに紛れて自分達にとっての“癌”を撲滅させようと目論んでいるのだよ。」
「それで...貴方は僕に何を頼みたいんですか?」
僕は恐る恐る聞いた。
「使われる“The Thing”はプロトタイプだ。そしてどうやら今はワールドブルー社内にあるらしい。実戦に使われるから保管場所から出してきたのだと思う。
君の新たな仕事は“The Thing”が戦争で使われるのを阻止し、“The Thing”の情報を我々に提供する事だ。運良くワールドブルー社内では数人を除いて”The Thing“の事は誰も知らない。
我々が聞きたい事は、君がこの仕事を引き受けるかどうか。それだけだ。」
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この時“定理の破壊度”を測定する為にネコなどの動物が被曝対象になった。