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クリスマス・イブ

クリスマス・イブに別れ話をされました。

旅館に向かう伊豆の踊り子に乗る90分前に、

私たちは彼氏と彼女から、〇〇くんと〇〇ちゃんになりました。

それでも、待っている美味しいご飯と素敵な露天風呂、目の前に広がる海に

釣られて、私たちは伊豆にやってきました。

このnoteは「きっとこんな気持ちでここに立つことは人生でもうないだろうな」と思い立ち、露天風呂上がりに書いています。

暗くてよく見えない大きな黒い海を見ながら感じた

終わりを悟っていた彼氏彼女が終わった時の気持ちをそっと綴らせてください。

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今日はクリスマス・イブですね。

みなさんはどんな過ごし方をしたのでしょうか。

きっと平日だから、普段通りお仕事だった方も多いですよね。

クリスマス・イブの東京の街の様子はどんなだったのかなあ。

私は初めてクリスマス・イブに東京を離れ、伊豆の旅館に来ています。

冒頭で述べた通り、

今朝私は付き合って一年半になる彼氏から別れ話をされました。

私たちの関係はもともと歪であり、一年でデートするのは3・4回でした。

「ほんとに付き合ってるのそれ??」とお互い友達に言われるのはいつものこと。

それでも私は彼の寛容さと人を放っておけずに

お節介を焼きまくる人格に心酔していました。

人がいいこと以上に素晴らしいものはないことは確信していました。

ただ同時にお互いがマイペースで対話を恥ずかしがり、

お互い求めず現状維持を続けた結果、

スッと溶けて消えるようにカップルという関係性は終了しました。

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別れ話の時に初めてちゃんとできた対話の満足感から、

少し高揚した気持ちで歪な最後の旅行が始まりました。

ご飯も美味しくて、楽しかった。

さすがに貸切風呂に入る気持ちにはなれなくて、

一人で大浴場に駆け込んだ後、

キャイキャイしている少女たちと、恋人を待たせる彼女たちと

一番混み合う夜9時の浴場で髪を洗ってから、

隙を見て露天風呂に踏み入れると、

大きな丘の頂から一人で世界を見下ろしているような景色が広がりました。

黒い空と暗い海。荒めの波音とあっちの方に見える船光。

私を肖像画にするならさっきのシーンにしてほしいなあ!!笑

「丘に立つ女」みたいな。

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人気(ひとけ)の合間で人のいない海もどきの露天風呂は

水平線と同じ目線で作られていて、そこで頭の中で色々と考えるのをやめ、

ただぼうっとしてみました。

今日は少し雨が降っていて、体の熱と肩の北風がアンバランスで、

苦しいことに旅館のあるこの町は『君の名は。』の舞台の町みたいな

水辺をまあるく囲む線状のかたちをしていました。

気づいたらというか、

普通に涙と鼻水一筋垂らしていて

でもそれが悲しいという感情なのかと言われたら

そんな感じでもなくて。

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この町は案の定小さくて、

一番近いコンビニは「ヤマザキYショップ」。徒歩14分。

聞いたこともなかったけれど、Googleマップで見たら赤と黄色の看板でした。

デイリーヤマザキ的な?

一通りぼうっとし終わったとき、『君の名は。』タウンを見下ろしながら、

ふと左を見ると、赤と黄色の光が目に入って。

あれ絶対あのコンビニじゃんね。

田舎ってすごいですね。遠くにあっても光が少なすぎてすぐ見つけられる。

感心しつつ、その時

色々最近言われたことが繋がって、

「ああちょっとシンプルに生きよう。」って思いました。

24年間東京で生きてきて、

国道沿いに実家があり、救急車やトラックたちが走り去る音で眠ってきました。

渋谷と新宿のネオンが私の懐かしい風景です。

それが当たり前だったから。

ここが渋谷だったら私は絶対徒歩14分と遠さにある

ヤマザキYショップは見つけられなかったなあと思って。

暗くてちょっと恐ろしさすら感じる寂しい風景は、

ものは多くないけど、大事なものが目の前にある時に

きっと見つけられるから。

ちょっと普通に怖いけど、シンプルに。

やらないことを決めようと思いました。

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クリスマス・イブにしては酷で妙な1日でした。

恋愛って面白いですね。

皆さん素敵なクリスマスを。

ありがとうほんとうありがとう