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「そもそもできないってなんだっけ」〜ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020プレスツアーに海外から参加して気がつけたこと
「できない」って感覚は溶かすこともできるんだと体験できたプレスツアーだった。
部分ロックダウンの続くマレーシアで不貞腐れていたら「パラトリエンナーレのオンラインプレスツアーに参加しませんか?」と暖かいお声掛けを頂いた。
ヨコハマ・パラトリエンナーレとはなんぞや。公式サイトにはこのように書いてある。メイン開催は11月18日から24日までとのこと。ふむふむ。
ヨコハマ・パラトリエンナーレは3年に1度開催される、
“障害者”と“多様な分野のプロフェッショナル”による現代アートの国際展です。
そして実は私、パラトリエンナーレに関しては実は特別な思い入れがある。それはシンガポールに駐在時、こちらのイベントに参加したことがあるから。
ちなみにこの会場になったThe Art Faculty は「私がシンガポールでお土産を買う際に絶対に訪れる場所」シンガポールに行けるようになったら絶対に行ってほしい。爆買いしてほしい。
そしてどうでもいい突然の告白だが、私の生まれ故郷は横浜市神奈川区。みなとみらいはめちゃくちゃ近い。なのでこのパラトリエンナーレは日本に一時帰国したらぜひ行ってみたかった。
だが、新型肺炎で行けない。っていうか州すら出れない。
そんな不貞腐れてる私に「オンラインツアーがありますから」と声をかけてくれた彼女を私は当初「気を遣ってくれてるんだなあ」と思っていた。
それが私の壮絶な思い違いだったことを気付かされることになるとは。
まずは総合ディレクターの栗栖良依さんのインタビューを読む。
そしてプレスリリースを読む。
で、オンラインでのツアーを拝見開始。横浜市神奈川区産まれの私。でも遠い昔に結婚した後は横浜を離れてしまったので綺麗な横浜市庁舎に戸惑う。
(オンラインのスクショだとやっぱり限界あるね😭)
white scaperの姿が見える。今回は制作はオンラインで開催「1:作り方動画の公開 2:材料を希望者に送付 3:送り返して頂き展示」されたと聞いて目頭が熱くなる。
そこで私は実際に参加したwhite scaperをぼんやり思い出す。そういえば小さな子が楽しくなりすぎちゃって、走り回りはじめちゃって途中退場した人がいたことをふあっと思い出す。
そうか、オンラインだったら子供が騒いでも参加できるのか。
次に始まったのは「サーカスアニメーション」という映像作品の紹介。
世の中には「ソーシャルサーカス」というジャンルがあるそうだ。
サーカスって本当に楽しい。私もマレーシアで数回サーカスを見たことがある。そしてこのサーカスの映像を見ながらふと思いだす。そういえば、演目中赤子が泣き出しちゃって離席した人、いたなあ。。。
そうか、オンラインなら子供が泣いても見続けられるのか。
プレスツアーで映る皆さんが夏服じゃないことに「自分が遠い場所にいること」を感じながらなんとなく疎外感が違う感情になってることに気づく。この気持ちの分析はちょと置いておいて次の紹介に集中しよう。
そしてオンラインでサイトで公開される「読む展覧会 BOOK PROJECT「そのうち届くラブレター」」。6名の作家に対して9名のクリエイター、彼らは基本的に直接会わずに作品を作り上げたとのこと。共同制作ってほんま大変なんだよな、新型肺炎があると調整も大変だったろうなあ。。。と思いながら聞いていてハッと気づく。
そうか、直接会わないから相互感染の心配する必要はないのか。
そのほかプレスツアーでは会場の感じが流れてきて、実家近いんだよなあ、おかん元気かなあ、崎陽軒の焼売食べたいなあとなんかウルウルしてしまう。
うわ、これ今なら買えるやん。誰か俺に送ってくれ(懇願)
話をプレスツアーに戻す。
質疑応答の中でこの発言に私はあることに気づく。
全ての作品をオンラインで参加できるのであなたのやり方を選んで参加してほしい
今回の参加アーティスト&参加者数は総数約750名(新型肺炎になったので前回より減少)だそうだ。そして前回とは大きな違いがある。それは「オンラインメインなので参加者の障害があるかどうかがわからくなった」だそうだ。
!!!!!
私は最近考える。障害ってなんだろう。私は家族の都合で東南アジアに住むようになって7年になった。うちは石油王のように裕福ではないので頻繁に日本に帰ることはできない。そして私は7年経っても英語で電話が満足にできない。(ちなみに日本語でもできない)。
英語が出来て、国際線を自由に乗れる富裕層から見たら私は「動けない人」「話せない人」である。
この「話せない」「動けない」という事実は視点によって多種多様に変わるのだ。なぜなら今までの「オフラインのみ」という視点から「オンライン」という別の視点ができたから。
そう、このオンラインの世界が広がったことでオフラインだけで定義されていた「できない」がとても流動的になった。それはオフライン定義だけしか受け入れられない人には最初は厳しい局面であるがオフライン定義の「できない」を「代わりにこれならできる」に変えることができ始めている状況からすると、なんとしてでも超えたい局面であることは皆わかってきたはずだ。
なぜなら新型肺炎が突きつけた「会えない」「動けない」(時期や程度は多種多様だが)全てのひとに向けられているからだ。
私の中の「どうせ私遠いし、そこ行けないし」という私の中の「できない」が解けていくことを実感する。それは私が「外国で、しかも新型肺炎で行き来できない状況で」このプレスツアーに参加したからわかったことだ。
「自分はできない」という違いが見えなくなる実感。これを感じながらこのパラトリエンナーレを楽しんでほしい。自分の中の「できない」が双方の工夫やアイデアによって見えなくなる体験をしてほしい。それは「できないをできるに変える」根本的な解決策ではないかもしれない。
でも、でも、そこで個々が感じた「自分はできないが見えなくなる感覚」は「相互理解する世界は作れる」という想いに近づけるきっかけになることを実感できるはずだ、なぜならそれぞれが「自分のできないが見えなくなる」を実体験することができるから。
今はとてもしんどいけど、そしてこの冬は更にしんどいかもしれないけど、創意工夫をして、情報交換をしてなんとかして乗り切ろう。それぞれが出来ることをやろう。「できない」が解けていく感覚を楽しみながら。
11月21日(土)11時30分〜12時30分に乙武さんのトークイベントが開催予定とのこと。申し込み不要だそうなのでぜひ私も試聴したい。ぜひ体調、環境に気をつけてフレキシブルな選択で開催してほしい。
そのほかにも楽しいイベントがオンラインで楽しめる。メイン開催は11月18日から24日まで。ぜひ公式サイトをチェックしてほしい。もちろんオフラインでも楽しめるので、行ける人はぜひ行ってみてほしい。
最後に、プレスツアーに誘ってくれた彼女に心からの感謝を。本当にありがとう。