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文章を思いつくのに時間がかかる。

僕は、文章を思いつくのに時間がかかる。
書ける時には、もうほとんど完成している。
だから、今書けているということは
数十分後には、この日記は書き終えられているのだろう。

書き始めるまではぼーっとしている。
何か別のことを考えている。
それか文章のことを考えている。
当たり前だが、そのどちらかである。

文章を書くのは時間がかかる時もあるし、
かからない時もある。
だけど、それは人には悟られない。
最終的に、文章を書いてしまえばこちらのものだ。

怒られたりもしない。
怒られるほどの文章は書かない。
だからライターになってよかったと思っている。

これが普通の会社員だったらどうだろうか。
普通の内勤の会社員だったら、
どうなるだろうか。

僕は大学を卒業して、
とあるメーカーの生産管理に配属された。
現場スタッフへ指示書を渡したり、
工場内の部品の在庫を管理するような仕事をした。

当然、パソコンは使う。
今も昔も変わらない。
だけど違ったことは、全く仕事ができなかったことだ。
僕は、仕事に取り掛かるのが遅い。

それは、納期に追われる製造業にとって
致命的な欠点だ。
仕事の取り掛かりが遅いということは、
その後の工程が全て遅れるということだ。

それは、上司にとって避けるべき問題だった。
だからよく怒られた。
その時はまだ、タイピングがまともにできなかった。
パソコンが苦手だった。

僕は、集中できない子だった。
そして集中しすぎる子だった。
メンタルが弱かった。

上司はそれらを総合的に判断して、
僕を生産管理から現場へと移そうとした。
至極真っ当な判断だと思った。
僕は、品質チェックの仕事に回ることになった。

でも、結局その仕事はやることはなかった。
なぜなら、その前に仕事を辞めたからだ。
現場送りを通告された次の日、
僕は仕事を辞めると上司に言った。

上司は怒鳴った。
僕は、か細い声で。
この仕事が向いていないと思うと言った。

上司はこうも言った。
この会社は天国みたいなところやぞ。
そんな甘い考えならどこへ行っても一緒だぞ。
それでも、僕は向いてないと言い切った。

ならいつ辞めるんだ?
と質問された。
その時、僕は押し黙ってしまった。
辞めることがリアルに感じられたからだ。

その様子を見た上司は見下すような様子で笑った。
また頭が真っ白になったのか?
そう質問された。
だから、僕は言った。
いえ。ゴールデンウィーク前に辞めます。

こうして、僕は仕事を辞めた。
大学を卒業して1年が経った時のことだ。
その瞬間、無職になった。
実を言うと、その時まだ将来のことを考えていなかった。

文章で食っていくと漠然と考えていた。
それでもWEBライターという仕事を知らなかった。
そこからだ、僕が動き出したのは。

WEBライターについて。
ネットで調べて本を読んだ。
ブログを開設した。
クラウドソーシングに登録した。
始めて、自分の意思で取り組んだことだ。

そこからかれこれ3年以上経った。
まさか、この仕事をまだ続けているとは、
3年前の僕は想像すらしていなかったことだろう。

でも辞めなかったのは、
色々な出会いがあったからだ。
そして文章が好きだったからだ。

今も変わらないことがある。
集中できないこと。
集中しすぎること。
メンタルが弱いこと。
こうした特徴を特定の名詞で呼んだりはしない。

ただ、そういったことがある。
そして、それが短所であり長所なのだ。

僕は、今での仕事に取り掛かるのが遅い。
でも、バイト先の人は何も言わない。
結局、時間内に文章が書かれているからだ。
それが、居心地が良い。
だから、バイトも辞めていない。

自分の特徴も3年前と何一つ変わっていない。
でも、前よりもずっと居心地が良い。
成長したのだろうという人もいるだろうが、
人間の本質はそんな簡単に変わらない。

でも、成長したこともある。
パソコンが苦手だった。
でも、必死に練習した。
今ではキーボードを見ずにタッチもできる。

変わらないこともあれば、
変わることもある。
これからも、そうであり続けるのだろう。

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