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だいたいニャー

ご主人は、今日もぶつぶつ言いながらパソコンのキーボードを叩いている。
こうニャってしまうと、もう吾輩のことなんて頭にニャイのだ。

ご主人は自称小説家。
妙に自嘲的にそう名乗るから、ちょっと気の毒に思う。
悪い人間ではニャイのだが、才能がニャイということも、明白な事実ニャのだ。
書いたものを読んだが、正直なところ、
つまらニャイ
という一言に尽きる。

これで勝負だ!
と意気込むご主人を見ていると、正直なところ同情する。

だが、今は目の前にいる吾輩のご飯を優先してほしいのだ。

ご飯はまだかニャ?
と控えめに声をかけても、ご主人は一瞬だけ吾輩を見て、
今、大事なシーンなんだ
と返すだけ。

だいたいニャー
世間に読まれもしニャイ作品を量産するより、今目の前にいる吾輩のご飯をニャンとかしてほしいのだ。

だいたいニャー
吾輩という唯一の同居人がいなくなったら、ご主人はどうニャルのだ?
孤独というやつが襲ってくる。イ
それは吾輩にとっても寂しいことだ。

吾輩はそっとため息をつく。
このままでは、吾輩のご飯は出てこニャイのだ。

だいたいニャー

文字数:446字

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