曼珠沙華が咲く黄昏時
金木犀が咲いたと思ったら、彼岸花も咲いたと聞き、見かけて写真も撮った。
香りの金木犀、色の曼珠沙華、朝夕の虫の音と、すっかり秋めいてきています。
黄昏時の時間が少しづつでも確実に早まってやがて秋分の日を迎える頃。
過ぎ去ってしまう夏を惜しみながらも、ひんやりとした空気が嬉しくもあり、わけもなくさみしくもあり。
気がつけばあんなに鳴いていたセミも見かけなくなり。
迫り来る年の瀬を思い、残りの月日を数えてみたりする。
少しだけ物思いに耽るにふさわしい季節を愉しむ。
有り余る時間と果てしない夢に押しつぶされそうになりながら忙しない心にせき立てられていた若い頃とは違い、時があまりにも早く過ぎ去ってしまうことを知ったからこそ、この一瞬を楽しむことの価値を思う。
そう、ゆったりと、手が届く今とここに存在する時間を楽しむ。叶わなかった夢さえも愛おしい。目指していた自分自身も愛おしい。その日々があったからこその今だから。
そんな日々が来るよと、あの頃の自分に伝えたいと願いながら。
刈り入れの時が着実に近づいている事はわかっているけれど、そこに至るまでの黄金色の時間をゆっくりと楽しみたいと思う。