男酒日記 100日目「毎日を『記念日』にしないために」
断酒100日ーー以前の私なら迷わず祝杯をあげていただろう。いや、みずから祝宴を催していたはずだ。
むろん、いまやそれは禁じ手だ。というか、もはやどうでもいい。だから、ふだん通りやり過ごすことにする。
酒を飲まないと、このように一日一日を淡々と送れるようになる。
飲んでいたころは、飲むための理由を血まなこになって探していた。
雨が降った。スタッフが悩んでいる。今日は小寒。かまぼこをもらった。思い出の本を読み返した。有名人が死んだ。ちょっと熱っぽい…
飲むための理由なんてなんでもいい。酒飲みはどうでもいいことで、いちいちしみじみするからいけない。
司馬遼太郎先生は「無用な感慨を持たぬよう自戒している」といっていた。
酒を飲むための理由づけなど、まさに無用な感慨の極みである。いちいち立ち止まり、杯を傾けていたらちっとも先に進めない。
100日目という区切りの日だからこそ、なおさら淡々と過ごしてやる。毎日を記念日にしていては、人生が台無しになる。
今日を「記念日撲滅宣言の日」にしよう。
写真:司馬先生が愛した草花。うちの庭にも植えるかな。
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