英雄問答 「司馬遼太郎」で男の修行 まえがき
「こんな奇妙な読み方する人おるんやなァ」
司馬遼太郎先生は、こう苦笑いされることだろう。
私は司馬遼太郎作品を「自己啓発書」として読んできた。おのれの至らなさ不甲斐なさを少しでもよきものにするために必死で食らいついてきたのである。
英雄は寡黙。議論などしない。
英雄は温和で、言葉遣いが丁寧。
英雄はなりふりかまわない。必要なら媚びへつらう。
英雄は臆病。だから周到緻密に準備する。
英雄はかっこつけない。阿呆を装う。
司馬が描く英雄たちは、世間一般の英雄像とはだ