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【政経東北】無駄な投資はやめよう|巻頭言2024.12

 福島市中心市街地の空洞化が止まらない。まちなか再生の起爆剤としてJR福島駅東口で再開発事業が進められているが、目玉の再開発ビルは資材・人件費高騰のため規模縮小。シティホテルやアパレル物販店などの誘致を断念し、飲食店やオフィスが中心となる見込みだ。市が整備するコンベンションホールと、地権者組合が整備する商業施設が分離して造られることになり、開業は5年後の2029年度までずれ込む。

 今年5月には同駅西口のイトーヨーカドー福島店が閉店し、現在も跡地利用は決まっていない。11月12日には、駅西口に直結しているショッピングセンター「パワーシティピボット」食品館内の一部店舗が来年1月末で閉店する見通しであることも判明した。テナントの新規誘致どころか、市民生活に必要な既存の商業施設が次々撤退している。

 市は「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりを目指している。中心市街地である駅周辺に都市機能を総合的に集積させつつ、人口集積地である地域拠点を役割に応じて機能強化し、各拠点を交通ネットワークで結ぶというものだ。

 しかし、シティホテルやアパレル物販店などの誘致断念、食品スーパー撤退の現状を見る限り、駅前に商業機能を集積するのは限界がありそうだ。実際、福島市の消費購買動向調査でも、市民の多くは郊外やインターネットで買い物をしているという結果が示されている。市民にとって駅前は通勤・通学以外では行かない場所になっている。

 市は駅東口再開発ビルに多額の投資をしようとしている。全体事業費は550~580億円だが、そのうち市の負担分は250~270億円。民間主体の再開発計画だが、半分は市が負担する格好。市施設管理運営費は年間6~7億円となる見込み。再開発エリア全体の経済効果は年間40~50億円(ホール稼働率85%の場合)とされているが、首都圏のホールのように数百人規模のコンベンションをコンスタントに誘致できるのか、現時点で未知数だ。

 木幡浩市長は過去「これが中心市街地を活性化させる〝ラストチャンス〟と言っても過言ではない」と話していたが、人口減少と郊外化が猛スピードで進む地方都市の駅前で、250~270億円をかけてコンベンション施設を整備したところで衰退を止めるのは難しい。いっそのこと〝無駄な投資〟を見直し、交流人口増加よりも若者や女性が働きやすい環境の整備などに注力した方が、人口増加や活性化につながるのではないか。(志賀)

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