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【常磐病院】「第二の心臓」ふくらはぎ|耳寄り健康講座31

 暑さも和らぎ、季節はもう秋ですね。「スポーツの秋」と言われるように、秋は運動を始めるには気候的にちょうど良いかもしれません。今回のテーマは、運動する上で重要な役割を果たしている「ふくらはぎ」についてご紹介していきます。

 【第二の心臓と言われるふくらはぎ】

 皆さん、ふくらはぎが第二の心臓と呼ばれていることをご存知でしょうか? 心臓は強力なポンプの役割を果たし、血液を人体の隅々に運んでいます。その量は、何と1分間で約5㍑とも言われています。

 一方で、物を上に押し上げるにはかなりの力が必要となります。血液も同様で、足から心臓へ血液を戻すためには、重力に逆らい血液を押し上げる力が必要になります。

 ここで重要な役割を果たしているのがふくらはぎ。ふくらはぎの筋肉が収縮することにより、血液を送り出すポンプのような働きを担うことから、ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれているのです。

 【ふくらはぎと静脈の弁】

 動脈を通り酸素や栄養などを運んだ血液は、その後、静脈を通って心臓へと戻ります。この静脈の内側には弁が設けられており、血液の逆流を防いでくれています。

 また、ふくらはぎの筋肉がぎゅっと締まる(収縮する)ことで静脈が圧迫され、弁の働きも作用し、血液は下から上へ押し上げられていきます。歩いたり走ったりすることでふくらはぎの筋肉が緩む・締まるを繰り返し、血液が心臓へ循環していきます。

 【ふくらはぎを鍛えるメリット】

 ひざから下の部位のことを「下腿(かたい)」と呼びます。ふくらはぎの筋肉は「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」と呼ばれ、内側と外側に分かれる腓腹筋と、深層にあるヒラメ筋で構成されています。ひざ下にある3つの筋肉という意味で下腿三頭筋と名付けられています。

 ふくらはぎは、歩く・走る・跳ぶなど、足を使う運動全般で重要な枠割を担っています。ダッシュやジャンプといった瞬発力は腓腹筋が担当し、ヒラメ筋は身体のバランスを調整したり持久力を担っています。ふくらはぎを鍛えることで、瞬発力・持久力の向上、転びにくくなるなどのメリットがあるほか、血流が良くなることで疲労物質が溜まりにくくなり、むくみの改善、疲労回復効果も期待できます。

 中高年の方がふくらはぎを鍛えるおすすめのトレーニングは「ウオーキング(お散歩)」です。背筋を伸ばし、つま先の動きを意識しながら、毎日無理しない程度にお散歩することをおすすめします。

 【静脈の弁の疾患・下肢静脈瘤】

 「ふくらはぎの静脈がぼこぼこして、だるさ・むくみがある」、「足がつり、夕方になるとそれらの症状が強く出る」という方は、静脈の弁の疾患「下肢静脈瘤」かもしれません。

 下肢静脈瘤は、弁が壊れてしまうことで血液が足に溜まってしまい、血管がぼこぼことした状態になってしまう病気です。女性や調理師・美容師さんなど立ち仕事をされている方に起きやすく、自然治癒は望めません。放置してしまうと皮膚の炎症(湿疹・色素沈着)や潰瘍となる場合もあります。

 下肢静脈瘤の治療は、ときわ会グループだと、いわき市のいわき泌尿器科=☎0246(27)5522=や、郡山市の日東病院=☎024(932)0164=で行っています。

 かかりつけの医療機関がない方などは、お気軽にお問い合わせください。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。
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