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「足関節の背屈制限(③筋性拘縮篇)」#書く習慣76

日々の診療お疲れさまです。TROT(トロット)です。

本日も足関節の背屈制限についてまとめていきます。
筋性拘縮の第3弾は長母趾屈筋長趾屈筋後脛骨筋についてです。

 第1弾 : ⑴腓腹筋、⑵ヒラメ筋

 第2弾 : ⑶長腓骨筋、⑷短腓骨筋

 第3弾 : ⑸長母趾屈筋、⑹長趾屈筋、⑺後脛骨筋

前回までのまとめはこちら


今回も当然参考にさせていただいているのはこちら



筋の評価と運動療法(続き)

⑸長母趾屈筋


①評価

ⅰ)触診

 ・外傷時に損傷を受けやすい特徴がある

 ・長母趾屈筋への評価治療は可動域制限の本丸となる重要な筋肉

 ・触診を行う場合は腓骨近位部、腓骨中央部、腓骨遠位部に分けて捉える

 ・腓骨近位部の触診では、腓骨後縁から内縁にかけて付着する筋線維について行う

 ・腓骨中央部の触診では、腓骨筋が走行するため長母趾屈筋は内側方向に筋線維を広げる形態になる

 ・腓骨遠位部の触診では長母趾屈筋の筋線維が腓骨内縁から離れ、距骨後方を走行する



ⅱ)伸長操作

 ・FHLの伸長は足関節背屈+足部背屈+外返し+第1趾の伸展運動にて行う(ウインドラスの働きを抑制して行う)

 ・評価する場合、第1趾を伸展した場合の背屈可動域の違いを比較する



ⅲ)滑走操作

 ・腓骨遠位部で滑走性を評価時には、脛骨と筋線維の間の徒手的な剪断操作を用いる

 ・脛骨後縁ではFHLの周辺に豊富な脂肪組織が存在するため、滑走操作時には筋と脂肪組織を同時に滑走させる

 ・操作時には表層の軟部組織の緊張を抑えるために足関節底屈位にて行う


②運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・伏臥位にて膝屈曲位で行なう

 ・収縮運動を行う場合は、足関節と足部の底屈+内返し+母趾の屈曲自動運動を反復し、緊張を緩和する

 ・伸長操作を行う場合は、足部の背屈+外返し+母趾の伸展運動を加えた後に足関節背屈他動運動を行う



ⅱ)滑走操作


 ・脛骨と筋の間に剪断力を繰り返し加え、可動性の改善を図る


⑹長趾屈筋

①評価

ⅰ)触診

 ・FDLは可動域制限を考える上で重要な筋肉

 ・FDLはFHLやTPととみにヒラメ筋深層に位置し、TPを覆うように脛骨後縁を走行する

 ・筋線維は近位〜中央に多く、遠位部〜足関節では腱となる

 ・下腿後面を走行するFDLに対し脛骨近位部、中央部、遠位部と
  3つに分けて捉えると良い

 ・脛骨近位部では、脛骨後面に広く付着するため、この部分で骨折が生じると
  筋線維自体に影響が生じる

 ・脛骨中央部では、ヒラメ筋が脛骨から離れ、FDLが最内側に位置してくる

 ・脛骨遠位部では、TPの後方から外側へと走行が変化する部位



ⅱ)伸長操作

 ・FDLは足関節背屈+足部背屈+外返し+第2〜5趾伸展運動により伸長する
  (足部縦アーチを抑制しながら行なう)

 ・FDLはFHLからの交差枝と連結するため、FHLの影響を受ける可能性があるため
  FHLも合わせて評価が必要



ⅲ)滑走操作

 ・FDLがTPの内側に隣接し脛骨後縁上を滑走する脛骨中央部では、
  脛骨とFDLの間で癒着が生じる

 ・内側からの滑走操作は、脛骨後縁に沿った方向を目安に滑走操作を行なう
  (隣接するTPも同時に行なう)

 ・外側からの滑走操作は、FHLの内縁を捉えTPを介した操作を、
  脛骨後縁に沿った方向で滑走操作を行なう(足関節底屈にて行なう)


 ②運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・伏臥位で膝屈曲位にて行なう

 ・収縮運動を行う場合、足関節底屈+内返し+第2〜5趾の自動屈曲運動を反復し
  緊張を緩和する

 ・伸長操作を行う場合、足部背屈+外返し+第2〜5趾の伸展運動を加え
  足関節自動背屈運動を行う



ⅱ)滑走操作

 ・脛骨と筋の間に剪断力を作用させ滑走性の改善を図る


⑺後脛骨筋

①評価

ⅰ)触診

 ・下腿骨骨折ではTPを中心とした後深区画内圧が上昇することで疼痛や
  ROM制限が生じやすい

 ・TPは下腿近位部から中央部にかけて脛骨並びに腓骨の骨間膜側に付着し、
 脛骨中央部から遠位部では脛骨後縁を走行し足部へと至る

 ・脛骨近位部では表層にヒラメ、腓腹筋を介した触診となるため緊張を抑えるために
  足関節底屈位で行うと良い

 ・脛骨中央部ではTPがFHLとFDLに覆われる位置での触診となるため、
  足関節底屈位で緊張を抑えながら行う

 ・脛骨遠位部ではTPがFDLに覆われ、TPとFDLの外側にFHLが隣接する形態となる



ⅱ)伸長操作


 ・足関節背屈+足部の回内により伸長させる

 ・評価を行う場合、足部背屈+内転+内返しをした時と
  足部背屈+外転+外返しをした時の足関節背屈可動域の違いを比較する



ⅲ)滑走操作


 ・脛骨中央部から遠位部では、TPが脛骨後縁上を滑走するため、
  TPの滑走部周辺の骨折では癒着の評価のため最優先的に滑走操作を行なう必要がある

 ・脛骨と筋の間に剪断力を作用させるように行う

 ・表層の軟部組織の緊張を抑えるために足関節底屈位にて行う

②運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・伏臥位で膝屈曲位にて行う

 ・収縮運動を行なう場合、足部を回内から回外位へと誘導しながら
  足関節底屈の自動運動を反復させ、緊張を緩和させる

 ・伸長操作を行なう場合、足部の回内運動+足関節の背屈他動運動により伸長させる



ⅱ)滑走操作

 ・脛骨中央部から遠位部にて脛骨後縁と筋との間に剪断力を繰り返し加え
  可動性の改善を図る

 ・最深部に位置するTPに剪断力が達しない場合は、持続的な圧迫にて対応

それでは今日はこの辺で。