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膝窩から膝内側への筋配列(鵞足中心)と評価方法
膝窩の解剖や膝内側の筋配列が苦手なのでまとめていく。
まずは膝窩から膝内側の部分に当たる赤で囲った部分から。
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腱・薄・縫(ケン・ハク・ホウ)で覚えましょう!
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上図は右膝を後内側からみた図になります。
①半膜様筋(SM)の上に半腱様筋(ST)が存在
②その隣に薄筋が存在する
③更に前方に縫工筋が存在する
腱・薄・縫(ケン・ハク・ホウ)で覚えましょう!
それではそれぞれの筋肉についてまとめてい期待と思います。
半腱様筋
・坐骨結節〜脛骨粗面内側に付着し鵞足の最も後方を通過する筋肉
・遠位1/2が腱線維となり半膜様筋の上層を走行する
・股関節の伸展、膝関節の屈曲に強力に作用し、補助的に脛骨を内旋させる作用も持つ
・膝関節深屈曲位での膝屈曲トルクの生成にSTが深く関与している可能性が高い
・膝45°屈曲位での内旋運動が効果的(この肢位では大腿骨の長軸と平行に下腿へ回り込むため)
半腱様筋の触診
①伏臥位/膝45°屈曲位で、下腿内側より脛骨内側に手を当てる
②手掌部で下腿を把持し大腿骨長軸に対して平行に下腿を外旋させSTをまっすぐ遠位へと牽引する
③そのまま元の位置に戻すように内旋を行うとST腱を観察可能
④膝の内旋運動を反復しながら近位へと触診していく
⑤半腱様筋の外側縁には大腿二頭筋の長頭が接してくるので筋間に指を挿入しながら触診を行う
薄筋
・恥骨結合〜脛骨粗面内側に付着し鵞足の最も内側を通過する筋肉
・腱に沿って神経や血管網が発達しており疼痛を感じやすい
・股関節内転筋群の中で唯一の二関節筋
・下肢が固定されると、骨盤を前傾させる作用を持つ
・股関節外転位で膝伸展強制で鵞足部痛を訴える場合は薄筋が関与する可能性が高い
・股関節の内転・屈曲、膝関節の屈曲、および下腿の内旋に関与する
薄筋の触診
①患者仰臥位で股関節外転、膝関節屈曲位にて鵞足後方より指を当てる
②他動的に膝を伸展させて緊張してくる薄筋腱を触知する
③薄筋腱を同定できたら膝の他動屈伸を繰り返しながら薄筋をつまむ要領で近位へと触診していく
縫工筋
・ASIS〜脛骨粗面内側に付着する筋肉
・あぐら肢位は縫工筋固有の作用
・鵞足の他の2筋と比し、より遠位まで筋線維が存在している
・knee In時の動的安定化機構には、鵞足筋群による制動が必要
縫工筋の触診
①端座位にて股関節の屈曲外転外旋運動を反復させる
②ASIS前方に手をあて縫工筋をレリーフする
③運動を反復させながら遠位へと触れると、大腿前面を内下方へと走行する様子を確認できる
④膝近位では内側広筋の後縁に沿って走行している
⑤鵞足部では指を内側関節裂隙に対して前方より触れ運動を反復させると脛骨粗面内側まで緊張する縫工筋腱を確認することが可能
また、膝エコーのすべてによると…
・エコーによる鵞足の観察では、半腱様筋、薄筋、縫工筋を区別することはできない
・やや近位側に移動すると区別をすることが可能になる
鵞足の評価方法
・鵞足炎が疑われた時は圧痛を確認する
・停止部近くの脛骨内側上顆の隆起部が圧痛の後発部位である
・圧痛を認めた場合、以下の鑑別テストを行いどの筋が最も痛みを発しているかを鑑別する
半腱様筋テスト…
①仰臥位で股関節を屈曲・内転位とする
②この肢位で膝を伸展させて半腱様筋を伸長させて鵞足部に疼痛が誘発されれば陽性
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薄筋テスト…
①仰臥位で膝屈曲、股伸展のまま最大外転し薄筋を伸長させる
②鵞足部に疼痛が誘発されれば陽性となる
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縫工筋テスト…
①非検査側の股関節を内転位で固定
②検査側の股関節を軽度伸展・内転位とする
③その肢位から膝を伸展・下腿を外旋させて縫工筋を伸長させる
④鵞足部に疼痛が誘発されれば陽性となる
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参考文献
①膝エコーのすべて
②運動療法のための機能解剖学的触診技術
③変形性膝関節症の保存療法
④選択的疲労条件を用いた半腱様筋機能の解明
というわけで…
今日は膝の鵞足を中心に機能解剖、触診、評価方法についてまとめてみました。
まだまだまだまだ勉強不足ですが、患者さんの健康のためにできることをコツコツと積み上げていきたいと思います。
明日は今年最後の診察となりますのでしっかり寝て最終日を乗り切りたいと思います!
ではでは :)