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「分裂膝蓋骨の固定ってどうなの?」#書く習慣110
日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
上司から面白い文献があるよ、と紹介されたのがこちらの文献なのですが、有痛性分裂膝蓋骨に固定を行い良好な結果を得たという内容でした。
少し詳しく見ていこうと思います。
有痛性分裂膝蓋骨とは
・有痛性分裂膝蓋骨の発生頻度は0.6〜2%で、そのうち症状を認める有痛性のものは2%以下との報告があり比較的稀な疾患
・原因は不明で、生まれつきと言われていて、成長過程で分裂したものがほとんど
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・または、繰り返される膝伸展力が引き起こす骨化異常という説も…
(その場合、外側広筋から独立して膝蓋骨に腱として連続するVLOが発生に関与しているとされている)
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・痛みの病態としては膝蓋骨が2つに分かれることで、結合部の靭帯が緩み、動くことにより炎症を起こし有痛性となると言われている
・大谷翔平選手が2019年9月に手術を行ったことでも有名
・一般的に保存療法が原則だが、疼痛が強く運動制限がある場合は手術も適応となる
治療対象と固定期間
今回の文献によると…
・治療対象は6〜14歳の10膝(オーバーユース6例、外傷4例)
・全例に対して…
① スポーツ活動の中止
② 大腿から足部のギプス固定
・固定期間は1ヶ月〜1ヶ月半(平均1.45ヶ月)
・固定肢位に関しては記載なし
・有痛性分裂膝蓋骨の診断は以下の2点…
① X線写真で分裂膝蓋骨を認めるもの
② 分裂部局所に圧痛があること
治療結果
・骨化核に加わる伸展力をできる限り軽減する目的でギプス固定を行なった
・骨癒合と疼痛の関係性は相関しないという報告も、相関するという報告も存在するが骨癒合を目指すのが望ましい
・スポーツの中止群は83.9%に、スポーツ継続群は33.3%に骨癒合が見られた
・6〜14歳の若年者に対してギプス固定を行なうことは有効であった
・16歳以上では保存的治療では全例で骨癒合は認めなかった(池田ら)
とこんな感じでした。
今まで自分の治療対象ではなかった症例が、対応できそうなものに見えてくると臨床がどんどんと楽しくなってきますよね!
今後は医師と相談しながら分裂膝蓋骨に対しての固定も導入していこうかと考えております。
本日もお疲れ様でした!!!