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「MCLを診る(MRI篇)」#書く習慣74

日々の診療お疲れさまです。TROT(トロット)です。

何度かお話ししていますが、最近はMCLを損傷されて来院される患者様が多いです。

しかもありがたいことに当院にMRIがないことをご理解いただいて、近隣の撮影施設でMRI撮影をしてきていただいています。


が、しかし!

私はMRIの見方が詳しくわかりません : (

折角いただいたデータを活用できないのは良くないと思い、本日は「MCLを診る(MRI篇)」ということで、見方について学んでいこうと思います。



今回参考にさせていただいたのはこちら



MCLの解剖

・MCL:medial collateral ligament

・浅層と深層があり、通常言うMCL(medial collateral ligament)は浅層を指す。

・MCL浅層は関節裂隙の5cm上方から下方は6-7cmの脛骨内側部に付着する。なので絞って冠状断像で撮影すると欠けてしまうので注意。

・MCL浅層は半月板との直接の連続はない。

・MCL深層は内側半月板に付着し、meniscofemoral、meniscotibial ligamentとも呼ばれる。別名、関節包靭帯。


MCL損傷

・膝の靭帯損傷の中で最も高頻度。下腿の外反により生じやすい。

MCL断裂のGrade分類

 grade1:微細断裂(sprainまたはstrain)。靭帯のelongationが主体で、
       機能的な障害にはならない。治療も保存的。

 grade2:部分断裂

 grade3:完全断裂


・上記のように分類されるが、ほとんどはgrade1に留まる

・grade2,3を分ける必要はあまりない。

・浅層本体はintact(無傷)だが、その周囲に浮腫性変化を伴うものがgrade1

・あまりに厚いものは、断裂後の瘢痕組織に置換されているもので、健常ではない。厚いから正常ではない。

・浅層のさらに外側に層が見えることがあり、縫工筋などの筋膜が見えている。縫工筋は半腱様筋、薄筋とともに鵞足を形成する。

これらの筋と内側側副靱帯の関係(横断像)はこちら。


・MCL断裂の半数以上は大腿骨側で発生する。

・MCLは関節外構造物であり、単独損傷による関節液貯留は見られない

・関節包(MCL深層)が断裂しない限り関節鏡では確認されない。

・保存的治療が多いが、grade3で前十字靭帯損傷の合併がある場合は再建術が選択されることあり。

症例を診る

・まずは正常な症例から。

症例1:80歳代女性(grade1)



浅層本体はintactで見えるがその周囲に浮腫性変化を伴うもの→grade1

intactとは…

症例2:30歳代男性(grade2)

MCLは腫大し、周囲に液体貯留を認める → Grade2相当



今日はこの辺で!

明日は休み、昔の同僚のお宅に訪問します!楽しみ!!