「足趾シーネの作成手順」#書く習慣117
日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
本日は、明日行う勉強会の内容の復習を行いたいと思います。
柄にもなく、なんだか緊張してきました。笑
前回までのまとめはこちら。
固定は組織の不安定性に準ずるべき
まずはじめに固定を選択するに当たって、
患部の不安定性が強い場合は強度の高い固定を選択する必要があります。
その逆に、
患部の不安定性が減少してきた場合は、強度の低い固定を選択する必要があります。
当院は今まで、プライトンやアルフェンスで初期固定を行ない、
患部の状態が改善してきたらバディテープに変更する、という治療を提供してきました。
ですが、
患者さんによっては足をつくのを極度にためらったり
固定期間が十分なのに痛みの引きが悪い例、を経験しています。
治療にはバリエーション(種類、引き出し)や疼痛に応じてグラデーション(強弱)が必要だと感じますが、固定においても同様だと思います。
要するに、この真ん中に該当する強度の固定を考える必要があるなと考えました。
今回紹介する固定は、
を想定して説明指導に入りたいと思います。
材料と手順
早速ですが、作成についての説明をしていきます。
用意するのはアクアプラストと伸縮テープだけです。
アクアプラストは指を覆える程度、伸縮テープは指を一周できる程度の長さを準備してください。
アクアプラストの使用方法については以前酒井医療機器の方がデモでいらした際にも説明があったので簡易的な説明にはなりますが
①温めて柔らかくする
熱湯につけて固定を柔らかくします。
柔らかさの目安は、アクアプラストが透明になる頃が目安です。
②掌背側から当てモデリング
固定を取り出し、軽く水を切り、指を掌背側から覆うように当てモデリングします。
この時、足尖部に角をつけるようにつまんでおくと固定の緩みを最小限にすることができます。
透明だった固定が白色になる瞬間が固まってくる目安です。
③テーピングで固定
指の屈伸を行い皮膚にあたる部分をカットしたら伸縮テープで指の根元を慣行して固定作成は終了となります。
最後に必ず隣接指を動かし、干渉していないか確認を行うようにお願いします。
治療対象は中足骨以遠
対象となる骨折を考えてみます。
といっても、治療の最終フェーズでの固定変更になるので基本的には中足骨以遠の損傷にはほとんど使用できる固定となります。
しかし、注意していただきたいのは以下の2点です。
この2点に関しては患部を抑えることができないため、適応からは外れると思います。
また掌側と背側を覆う固定になり側方動揺性は抑えることができないため、側副靭帯損傷に関しては△という表示にしてあります。
サポーター代わりに軽めに固定したいという程度でしたら使用は可能だと思います。
名称がまだ決まっていません…
あまり詳しくないのですが、文献を散見したところ名前がまだ決まっていません。
当院で扱うに当たり名称を決めておきたいと思います。
「つまむ」「はさむ」の意や、「形状」からこんな名前を考えてみました。
他に良い名前があれば、誰か名付け親になっていただけないでしょうか?
先生、いかがですか?
算定について
で、ここが大事なところになるのですが
アクアプラスト、という固定材料は軟化成形使用型(056副木)という特殊な算定が可能な固定材料になります。
普通に固定の算定を行うと
四肢ギプスシーネの作成に対しては、490点の加算が可能ですが、
ギプス修理に対しては、1/10の49点しか算定することができません。
ですが、今回この固定材料を使用すると
ギプス作成や修理とは併用ができないものの
創部のあるなしに関わらず創傷処置の52点と
副木の材料費代として1380円の算定が可能になります。
整復をした後の初期固定や、初回固定から期間が空いてギプス作成の490点が算定できる場合にはもちろんそちらの方が良いのですが、
こういった算定方法があることも覚えていただきたいと思います。
おさらいになりますが…
こんな応用も今後考えています
今回は指1本のみでの固定を説明しました。
治療対象のスライドでもお伝えしたとおり、基節骨基部での使用はもちろん適応外になるのですが、
このような剥離骨折のタイプで外転制限を止めたいという固定であれば、2本の指を覆うようなこういった固定で対応できるのではないのかなと考えております。
まだまだ、患者さんへの使用例が少ないため試行錯誤の中ではありますが今回このような固定を紹介させてもらいました、
トライ&エラーを繰り返してよりいい医療を患者さんに提供できるように固定を担当したスタッフは患者さんからの意見の吸い上げもしていただくとクリニック全体の成長のヒントになるのかなと思います。
本日はご清聴ありがとうございました。
こんな感じでまとめてみました。
少し早めに寝て明日に備えたいと思います。