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「頚部の筋を触診する その1」#書く習慣87

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。

最近は全体の患者数が増えてきているのと、外傷患者の数もどんどんと増えているため柔整師冥利に尽きるなあと思っているところです。

さて、今回も新人研修のために使おうと思っている頚部の筋肉の触診についてまとめていきたいと思います。

もちろん参考にさせていただいたのはこちら



腰部の触診の際にも触れましたが、以下4点を中心に新人研修を行なっています。

 1. 疼痛部位の確認(どこが痛むのか)

 2. 疼痛誘発動作の確認(何をすると痛いのか)

 3. 触診①骨ランドマーク

 4. 触診②主要な筋肉

そしてこの中の⒋の主要な筋肉の触診についてまとめていきたいと思います。


⒈胸鎖乳突筋

起始:胸骨柄の前面、鎖骨の胸骨端

停止:乳様突起、後頭骨上項線外側部

作用

 ①両側同時収縮で、首をすくめる動き

 ②片側作用で頚部の同側側屈と対側回旋

 ③強い呼吸では、吸気の補助


触診:患者は背臥位とする

 ①顔を左に向ける

 ②耳介後方の乳様突起に指をあて、頭を持ち上げる



⒉僧帽筋

起始〜停止:

 ①僧帽筋上部:外後頭隆起、項靭帯〜鎖骨外側1/3後縁

 ②僧帽筋中部:第1から6胸椎棘突起〜肩峰内側、肩甲棘上縁

 ③僧帽筋下部:第7から12胸椎棘突起〜肩甲骨棘三角

作用:

 ①僧帽筋上部線維と三角筋前部線維は互いに引き合う関係

 ②上部線維は鎖骨肩峰端の挙上とともに肩甲骨を挙上、上方回旋させる

 ③下部線維は肩甲骨の下制とともに上方回旋に作用する

 ④上肢挙上に伴う肩甲骨の上方回旋は僧帽筋と前鋸筋の協同作用による

上部線維の触診:

 ①患者座位にて肩軽度屈曲位から、抵抗下に肩屈曲運動を行わせる

 ②三角筋前部線維の活動量の増大により、固定筋である上部線維の収縮が触知可能


中部線維の触診:

 ①患者伏臥位にて肩90°外旋位から、水平伸展運動を反復させることで触知可能

 ②三角筋中・後部線維の活動量増大により、固定筋である中部線維の収縮が触知可能

下部線維の触診:

 ①患者伏臥位にて肩ゼロポジション位から上肢を持ち上げる

 ②肩甲骨が挙上したり、肩をすくめると収縮が触れづらいので介助を行う

 ③三角筋全体の活動量により、固定筋である下部線維の収縮が触知可能



⒊肩甲挙筋



起始:第1〜4頚椎横突起

停止:肩甲骨上角の内側縁

作用

 ①肩甲骨の挙上と下方回旋に作用する(菱形筋、小胸筋と協働)

 ②肩甲骨固定下での両側同時収縮では、頚部の伸展に作用する

 ③肩甲骨固定下での片側収縮では、頚部の側屈と同側の回旋に作用する

 ④僧帽筋機能低下により、肩甲骨の固定を肩甲挙筋にて行う

触診:患者伏臥位にて行う

 ①頚部を対側回旋、肩関節を伸展+内転+内旋させる(僧帽筋の作用抑制)

 ②肩甲骨の下方回旋を誘発した状態で、肩甲骨の挙上を行なう



⒋斜角筋

起始〜停止

 ①前斜角筋:C3から6の横突起前結節〜第1肋骨の前斜角筋結節

 ②中斜角筋:C2から7の横突起後結節〜第1肋骨の鎖骨下動脈溝の後方

作用

 ①頭が固定された状態で両側が同時収縮すると、胸郭を引き上げ、広げる作用を持つ

 ②胸郭が固定された上で両側が同時収縮すると、頚部の屈曲に作用する

 ③片側のみ収縮で頚部の同側側屈に作用する


前斜角筋の触診:患者は背臥位とする

 ①前斜角筋は顔面を左へ向ける

 ②乳突筋を包み込むように前方より指をあて指先を後方へ向ける

 ③強制吸気をさせると前斜角筋が収縮するのを触知できる


中斜角筋の触診:患者は背臥位とする

 ①前斜角筋のさらに後方に指をあてる

 ②吸気時に中斜角筋が収縮するのを触知できる



それでは今日はこの辺で。

p.s. 2歳の娘が花粉症を発症したようで、めちゃくちゃ機嫌が悪いです。