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「足関節の背屈制限(①筋性拘縮篇)」#書く習慣72

日々の診療お疲れさまです。TROT(トロット)です。

TROTが働くクリニックでは職員の入れ替わりがあり、一時的に人数が少なくなったため3月初めの今日はとても混雑しました。

整形外科領域の予約受付や順番受付の導入方法でいいシステムがあればお聞きしたいものです。


それでは今日も足関節の背屈制限についてお話ししていきます。

前回の皮膚性拘縮支帯性拘縮に続き、今回は筋性拘縮についてまとめていきたいと思います。

ちなみに量が多くなりそうなので筋性拘縮は3部作になりそうな気がしています。大変だけどここが一番の山場という感じがします。がんばります!

前回までのまとめはこちら



筋の評価と運動療法

・足関節の背屈可動域制限の原因となる筋は以下7つ。

 第1弾 : ⑴腓腹筋、⑵ヒラメ筋
 第2弾 : ⑶長腓骨筋、⑷短腓骨筋
 第3弾 : ⑸長母趾屈筋、⑹長趾屈筋、⑺後脛骨筋

これらの筋に対して伸張障害あるいは滑走障害が評価を行い、運動療法につなげていく


⑴腓腹筋

①評価

ⅰ)触診


・下腿後面の最も表層に位置しており、下腿近位部から中央部まで筋線維を有する

・大腿骨内側上顆から起始する内側頭と、大腿骨外側上顆から起始する外側頭がある


腓腹筋内側頭の起始部付近では、SMとSTが腓腹筋内側頭を覆うように走行している

・この位置でSMを識別する際は、SMの深層位置に徒手を進めるように、内側頭の外側より徒手操作を行う

・操作時は膝関節屈曲位とし、SMの緊張を抑えて行なう


腓腹筋外側頭の起始部付近では、大腿二頭筋が外側頭を覆うように走行している

・この位置で大腿二頭筋を識別する際は、大腿二頭筋の深層位置に徒手を進めるように、外側頭の内側より徒手操作を行う

・操作時は膝関節屈曲位とし、大腿二頭筋の緊張を抑えて行なう


ⅱ)伸長操作

・腓腹筋の伸張操作の際は、膝関節伸展位とし、腹筋内側頭と外側頭とを分けて、各筋線維の付着形態に配慮した操作を行うとよい

・伸張操作にて評価を行う場合は、距踵関節を①回内位、②回内外中間位、③回外位で背屈可動域の違いを比較する

・腓腹筋内側頭は、筋の走行(大腿骨内側顆から踵骨後方の下面まで)を想定して、距踵関節の回内外中間位でより足関節の背屈運動を行うことで伸長させることが可能

・腓腹筋外側頭は、筋の走行(大腿骨外側顆から踵骨後方の中面外側まで)を想定して、距踵関節の回外位でより足関節の背屈運動を行うことで伸長させることが可能


②運動療法

ⅰ)収縮運動と伸長操作

 ・収縮運動と伸張操作を行う際は、腓腹筋の内側頭と外側頭とを分けて行う


 ・内側頭に対して伏臥位にて操作を行う

 ・収縮運動は、膝関節伸展位で大腿骨内側上顆から腱の付着位置である踵骨下面までの走行を意識して、距踵関節の回内外中間位にて足関節底屈運動を誘導することがポイント

 ・足関節底背屈の自動運動を反復しながら、腓腹筋内側頭の緊張を緩和する。その後、距踵関節を回内外中間位にて他動的に背屈運動を行い、内側頭に適切な伸張を加える


 ・外側頭に対して伏臥位にて撮作を行う

 ・収縮運動は、隣伸展位で大腿骨外側上顆から腱の付着位置である踵骨中面外側までの走行を意識して、距踵関節の回内位にて足関節底屈運動を誘導することがポイント

 ・足関節底背屈の自動運動を反復しながら、腓腹筋外側頭の緊張を緩和する。その後、距踵関節を回外位にて他動的に背屈運動を行い、外側頭に適切な伸長を加える



⑵ヒラメ筋

①評価

ⅰ)触診

・ヒラメ筋は、腓腹筋やアキレス腱と後深区画内の筋(FHL、FDL、TP)との間に存在する

・ヒラメ筋は下腿後面の広い範囲に筋線維が存在する

・近位部では腓骨頭から脛骨近位端後面よりFHL、FDL、TPを覆っている

・触診を進める場合はヒラメ筋を下腿近位部から中央部と遠位部を目安に分けて行う


下腿近位部から中央部では、下腿後面で腓腹筋の内側頭を外側頭を目安にヒラメ筋の筋線維を大きく内側と外側とに分けて行なう

下腿近位部から中央部でのヒラメ筋内側線維の触診では、表層の腓腹筋内側頭や深層のFDLや深層のFHLやTPと選別して下腿近位部の内側線維を触診する必要がある

下腿中央部のヒラメ筋内側線維は、脛骨後縁から線維部が離れ、FDLがヒラメ筋と脛骨との間に位置してくる

・この位置ではヒラメ筋はFDLの表層に重なるためFDLとヒラメ菌との間に徒手操作を進める


下腿近位部から中央部でのヒラメ筋外側線維の触診では、表層の腓腹筋外側頭や深層のFHLやTP、外側に隣接する腓骨筋と選別して触診する

・この位置で外側からヒラメ筋を触診する場合は、腓骨筋やFHLの表層に重なるヒラメ筋を捉えるように徒手操作を進める


下腿遠位部ではアキレス腱の深層部を目安にヒラメ筋の触診を行う。また触診の際は膝関節屈曲位で行なう

・下腿遠位部でのヒラメ筋線維の触診では、表層に走行するアキレス腱と分けつつヒラメ筋の辺縁を捉えるとよい

ⅱ)伸長操作

・膝屈曲位+距踵関節回内位+足関節背屈で伸張が可能

・評価時には、距踵関節の回外位と回内位とで背屈可動域の違いを比較する


 ②運動療法

  ⅰ)収縮運動と伸長操作

・ヒラメ筋を以下の3つに分けて行なう

 ①下腿近位部から中央部の内側線維

 ②下腿近位部から中央部の内側線維

 ③アキレス腱深層部に当たる下腿近遠位部


①下腿近位部から中央部の内側線維

・伏臥位にて操作を行なう

・収縮運動は膝屈曲位にて距踵関節を回内から回外誘導+足関節底屈

・距踵関節回内+背屈 → 回外+底屈の反復運動でヒラメ筋の緊張を緩和する

・その後走行に沿って距踵関節回内位とし、他動的に背屈運動を行い伸張を加える


②下腿近位部から中央部の外側線維

・伏臥位にて操作を行なう

・収縮運動は膝屈曲位にて距踵関節を回内から回外誘導+足関節底屈

・距踵関節回内+背屈→ 回外+底屈の反復運動でヒラメ筋の緊張を緩和する

・その後走行に沿って距踵関節回内位とし、他動的に背屈運動を行い伸張を加える


③アキレス腱深層部に当たる下腿近遠位部

・伏臥位にて操作を行なう

・収縮運動は距踵関節を回内から回外誘導+足関節底屈

・距踵関節回内+背屈→ 回外+底屈の反復運動でヒラメ筋の緊張を緩和する

・その後走行に沿って距踵関節回内位とし、他動的に背屈運動を行い伸張を加える

それでは今日はこの辺で。

明日はひな祭りですね!楽しみだ〜:)