臨床スポーツ医学 ①椎間関節性腰痛
最近先輩から教わったこの本から項目を選んでお勉強して行きたいと思います。
まずはとっても多い椎間関節性腰痛からいきましょう。
椎間関節性腰痛
はじめに
・椎間関節の構造 及び 機能変化を起因とする痛みのこと
・腰痛全体の15〜20%がこの腰痛と言われている
病態
・病態としては以下の3つが考えられる
①損傷、炎症によるもの
(椎間関節の構成体の損傷や、炎症に由来する侵害受容性疼痛)
②筋肉の動きの悪さによるもの
(同一高位の棘間筋、多裂筋の攣縮 又は 筋伸張制限、滑走性低下による筋・筋膜性疼痛の合併)
③滑膜炎が波及したもの
(椎間関節における滑膜炎が隣接する神経根へ波及する神経障害性疼痛)
椎間関節性腰痛を疑うべき基準
・診断基準は以下の3つ。
①棘突起正中より1横指以上外側の腰痛であること
②Kempで腰痛が誘発されること
③椎間関節部の圧痛があること
診断のピットフォール(落とし穴)
①腰椎分離症
・椎間関節性腰痛と同様の力学的ストレスで発症
・発育期である中学生は脊椎が未成熟であるため、椎弓や椎弓根の疲労骨折となることが多い
②筋・筋膜性腰痛の合併例
・伸展時痛、回旋時痛を呈するため鑑別が必要
・鑑別点は以下の3つ
A.屈曲時痛が存在する場合が多い
B.痛みの訴えが広範囲であること
C.圧痛点が表層に存在するということ
③仙骨疲労骨折
・伸展時腰痛を呈することが多い
・女子の長距離走の選手はハイリスク群
・仙骨翼に最も好発する
④神経根性腰痛
・分離症やLDHによる神経根障害例で、片側性の腰痛のみを呈し、殿下肢痛を訴えない症例は身体所見のみでは鑑別困難
・ブロック注射にて鑑別診断を行なう
⑤Bertolotti症候群
・移行椎を有する症例で腰背部痛生じる症候群のこと
・横突起が拡大して仙骨翼 あるいは 腸骨との間に関節を形成している症例で腰背部痛を生じる
・診断基準は以下の3点
A. 関節形成部の圧痛と腰椎の進展時痛があること
B. CTやMRIにて他の器質的以上所見がないこと
C. 関節形成部への局所麻酔ブロックにて速やかに疼痛が消失すること
⑥棘突起インピンジメント症候群
・棘突起間の偽関節症、もしくは、棘間靭帯部の滑液包炎が病態
・腰椎伸展時痛が特徴的な症状
・棘突起から1横指以内の限局性腰痛
・大きな伸展動作を求められる新体操選手などに多い
と、こんな感じでしょうか?
青壮年だと椎間関節性腰痛って高い割合でいる気がしますけど、アスリートに関しては比較的少ないんですね。