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国連が皇位継承に意見したので選択的夫婦別姓の実現は遠のいた。

2024年10月30日の報道によれば、日本は国連の「女性差別撤廃委員会」から「皇室典範は皇位継承を男系男子に限っており、女性差別撤廃条約に反する」と勧告されたようだ。

この勧告について原文を見つけることができていないのでニュアンスまではわからないが、日本政府が抗議していることからも、報道どおり皇位継承のルールに干渉されたことは間違いないようだ。

なお、報道では「女性差別撤廃委員会」と報道されているが、政府の男女共同参画局のウェブサイトでは「女子差別撤廃条約」となっている。英語表記ではWomanなのでどちらでも良いのだが、報道機関はここで妙なこだわりをせずに政府表記に合わせてほしい。

原文ではなく報道内容によることを前提としての意見になるが、皇位継承を一般人に人生におけるイベントと同等の「プラスになる待遇や権利」という前提で議論していることがおかしいである。
皇位継承は本人にとってプラスかどうかは我々には全く推し量れないことである。それどころか全く自由が無い人生を送ることになるわけで、しかもそれから逃れることもできない。別に記事にしようと思っていたが、皇位継承こそ人権侵害とも言えると思う。
その意味ではむしろ男子差別と言ってよく、女子差別として議論するのは筋違いではないかと思うのだ。

いずれにせよ、この勧告によって日本国民の感情を大いに逆撫でしたことは間違いない。しかも今回は二回目である。以前にも同じような勧告を行い、撤廃させた経緯があり、あえて挑戦的に勧告したと受け取ることもできる。

さて、報道によればこの勧告は、夫婦別姓に対する勧告もセットであった。その内容は、報道によれば「女性が夫の姓を強いられる状況にある」ため、夫婦別姓を導入するように、というもののようだ。

当然この勧告は誤っており、妻の姓を名乗る夫婦もあるわけで、別に強いているわけでもない。日本で夫の姓に合わせることが多いのは、年齢や収入が夫のほうが高い、いわゆる「上昇婚」を望む女性が多いことが最大の要因であろう。つまり実態としては日本の結婚は女性にメリットが多いのだ。その点、この委員会の勧告は表面的あるいは一面的な部分でしか議論していないように思える。
もっとも、上層婚志向は未婚率・晩婚率増加の原因にもなっているようだが。

それはともかく、現在日本では「選択的夫婦別姓」導入に向けた議論が加速しているところであった。私も選択的夫婦別姓について条件付賛成の記事を書いている。

しかし今回の勧告が皇位継承への意見とセットで行われたことで(少なくとも報道ではそのように見える)選択的夫婦別姓導入の動きに対して冷や水を浴びせたのではないだろうか。

積極的な夫婦別姓推進派にとってもこの援護射撃は誤射だと言えるのではないだろうか。夫婦別姓を推進する=皇位継承に物申す というレッテル貼りをされる恐れがあるからだ。

今回の勧告に対し、日本のネットユーザーなどからは「国連の分担金納入を止めよう」などという意見も散見される。ロシアやイスラエルの侵略を解決できない国連に対する失望が広がっているなかでの報道だったので無理もない。
しかし冷静に見てみると、この委員会は女性差別撤廃条約に批准している国に対して行っているようで、いわば自己評価や社内監査に近いものがある。なので、この委員会が日本にとって相容れないのであれば条約から脱退すれば良い話である。そして今回の勧告はどちらも国民の多数意見と一致しているとは言い難い。


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