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少子化を考える③ 団塊世代の進学率と産業構造の変化

ロスジェネの親世代がどういう社会状況で育ち、大人なったかを見てきたい。

出生数が急減した1975年~1990年に子供を作った親世代は1950年~1965年くらいの生まれと想定される。ただし、ロスジェネが第二子だった場合も考えるとちょっと範囲を広げて1945年~1965年くらいとしよう。この期間の前半はいわゆる「団塊の世代」である。

彼らが青少年時代を過ごしてきた時代はまさに戦後の復興~高度経済成長期である。

さて、社会状況の変化の手始めに1960~75年までの高校・大学進学率を見てみよう。

出典:https://honkawa2.sakura.ne.jp/3927.html

高校進学率を見ると1960年(57.7%)から1975年(91.9%)にたった15年で上昇しているが、この期間がまさに1945年以降生まれの世代なのである。また、大学進学率も1960年(10.3%)から1975年(38.4%)と実に4倍近い急上昇となっている。つまりロスジェネの親世代自身が高学歴志向に転換した世代だったことがわかる。

次に産業構造の変化を見ていきたい。

出典:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html
出典:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0204.html


1951年の時点では就業者の半分近くが第一次産業に従事していた。それが1955年以降急降下し、1975年、ロスジェネ世代が生まれたころには12%台にまで低下している。
第二次産業の就業者数は1955年以降拡大するものの、1975年ころに35%のシェアを取った後は横ばいになる。
一方で常に拡大を続けてきたのが第三次産業で、実は1955年の段階ですでに一番就業者の多い産業となっている。

なお、第二次産業は意外なことに1960年まで産業構造の最下位で、一度も第三次産業を労働人口で上回ったことが無い。つまり日本の工業化は比較的少数の労働者数で世界の工場にまで押し上げた、オートメーション化の歴史であることが伺える。

また、1970年ころから統計に金融保険、不動産業の項目が登場しており、日本の産業界で存在感を増していることがわかる。この業界は大卒が主体となっていることは疑う余地が無い。

続いて人口動態のデータを見たい。

出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000452793.pdf

統計開始の1955年から1975年の二十年間で急激な変化が起きていることがわかる。東京・大阪・名古屋の三大都市圏の人口が37.2%から10%程度上昇し、反対に三大都市圏以外の人口が62.8%から10%減っている。つまり日本の人口の半分が三大都市圏に集中している今の状況を作ったのがこの二十年間だったというわけだ。

推測できるのは、産業構造が変化し、大都市圏の企業で働く人が増えたこと、また大学進学も大都市圏に多く存在するため、これも三大都市圏への人口集中を促したことである。実はこれはイギリスの産業革命でも起きたことで、産業の高度化は人口の偏重を招くのである。

以上を踏まえ、次回は少子化の原因をまとめてみたい。

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