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生活のデザイン

高橋が観た展示の感想📝Twitterの修正版。

ハンセン病資料館生活のデザイン展に行った。
エネルギーに満ちた展示だった。
ファブルのいう知恵と工夫が体現されていた。
佐藤が何もない環境の中で生きる術を獲得していったように、既製品がない中で患者たちは、患者自身、あるいは装具士と力をあわせて必要なものを作ってきたのだと知る。

生活のデザインー知恵と工夫によって障害を克服しようとする試みは、自分の生活をより豊かなものにするだけでなく、他の患者にも伝播し、受け継がれ、みんなのためのものづくりへと変化していった。

ハンセン病の歴史は差別の歴史だと思っていたが、個人に焦点を当てると患者それぞれが社会的弱者性を感じさせないくらいのエネルギーを持っている。
それは単純な力強さだけでなく、死へと導く世論に対し身をもってする批判にも見える。

重度障害を持つ利用者の生活の中でも、知恵と工夫は散見される。
例えばスライディングシートの代わりに使う45lゴミ袋、パソコンを操作するのに使う割り箸、肘置きに使うスマホスタンド、ビニール袋とタオルで作る自作ケリーパッド…
利用者は私の知らない道具の使い方、作り方をたくさん知っている。

最初は頭が柔らかいなぁと思った。
でもそれは天賦の才だけではない。
福祉用具が普及した今でも、個々の身体に合ったものはなかなか見つからない。
あっても価格が高かったりして、なかなか手が届かない場合がある。
各々が必要に迫られ思考し日々を生きている。

患者や障害者にあって私にはないもの。
それが知恵と工夫の精神。
それこそが原初的な生産性。
医療の発達に伴いハンセン病は不治の病ではなくなり、政策は反省された。
けれど現代でも不治の難病は山ほどあるし、障害者への風当たりは未だ強い。
この展示を見た方々が現代と地続きのこととして考えるきっかけとなったら嬉しいと思った。

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