清閑亭及び豊島邸の賃料と、JSフードシステム社による土地の無権限利用について
豊島邸では、不動産鑑定をベースに賃料が決められており、その殆どが土地の価値に基づいています。一方、清閑亭では、JSフードシステム社が所有する厨房とトイレの土地、および飲食店から鑑賞できる庭園の利用料は一切支払われていない契約になっています。
権限のない土地に、増設された厨房とトイレを保有しており、送迎車や関係者の自動車が乗り入れ、庭は実質的には飲食店客の観賞用として利用されている状態です。
小田原市の監査委員会からは、「市が所有する土地に第三者の建物が建っているのは民法上の不法行為と言うべきものである」との判断が示されています。
清閑亭の賃料は月額20万円ですが、この金額は建物のみの賃料であり、土地の利用料は含まれていません。その結果、JSフードシステム社は土地の賃料を負担していません。
年間240万円の収入のうち、200万円が庭の整備代、40万円が建物の修繕積立金として計上されており、実質的に小田原市の収入は「ゼロ」であることが毎日新聞でも報じられています。
一方、豊島邸に関しては不動産鑑定が行われ、月額148,800円の賃料と算出されています。小田原市内の妻木不動産鑑定所がこの鑑定を実施しています。
土地の評価額は62,130,000円、建物評価額は1,850,000円とされ、その殆どが土地の価値として基準価格が算出されています。
その基準価格に対して、市場金利の2.0%を乗じて積算賃料が算出されています。
しかし、国の有形登録文化財である豊島邸の建物価値が本当に185万円で良いのか、また築年数の経った不動産の利回りが2.0%で良いのか(一般的には、同様の不動産の利回りは5%を下回らないでしょう)については疑問が残ります。
さらに大きな疑問は、「なぜ小田原市はJSフードシステム社に権限のない土地を利用させているのか」です。なぜ清閑亭と豊島邸で異なる算出方法が採用されているのか。利用させるなら土地の利用料を徴収すべきではないのか。事業者や関係業者の車両が止まり、厨房とトイレが増築され、飲食店客の鑑賞用に利用されている清閑亭の土地が、なぜ賃貸借契約に含まれないのか。小田原市が所有し、庭園管理費を負担している庭園は、出入り自由にして一般開放されるべきではないのか。現状は、JSフードシステム社が権限のない土地を独占的に利用しているように見えます。