2024年5月9日に守屋市長から見解が出されました。これまで黙認され続けていましたが、ついに市長本人からの情報発信がなされたことは、とても大きな一歩です。見解は大きく異なりますが、市長にも感謝します。
市長からの説明に対して、私達の意見を一つ一つ説明していきますが、結論としましては、やはり第三者による一連のプロセスの調査が必要であるという意見です。
まずは事業者選定について言及されています。
清閑亭、豊島邸という2つの文化財に関して、21社からの提案があったにも関わらずJSフードシステム1社が独占していること、選定審査を行った委員が全て小田原市の職員であったことから、外形的には公平性が疑われます。また、選定審査の内容を情報公開請求した結果も殆どが黒塗り非開示であったことからも、審査が不透明であり、内容の検証ができず、疑義が残る形となっています。
尚、本問題は増設工事とオープンがなされた本年から市民に認知され始めたはずですので、時期に関しては単純にそれが原因でしょう。
次に清閑亭の維持管理費用についてです。
以前の清閑亭はのべ2-3万人ほどが利用しており、現在JSフードシステム社が徴収している管理費の550円を課すことで、より多くの人に利用され公共に利する形で維持できたのではないでしょうか。
また、庭園及び2階部分は実質的にJSフードシステム社に独占されており、年間240万円の貸付料のうち200万円は実質的に独占されている庭園の管理に利用されています。
TOTOCOなどとは異なり、利益が全て事業者収益になることも4月16日の厚生文教常任委員会で指摘されました。
小田原市観光協会には補助金を3000万円増額しており、のべ2-3万人の市民や観光客に利活用されていた清閑亭のコスト削減を進めることは、タブルスタンダードにも見えます。
続いて、6つの質問回答がありますので、一つずつ確認します。
こちらに関しては前述の通りですので割愛しますが、「清閑亭特記事項」に記載された史跡上への増設不可という公募要件が事後に改変されていたこと及びその経緯については、市議会で報告されていたのでしょうか。
食を通じて「小田原ならでは」の文化を発信しつつ、オール小田原で清閑亭を創り上げていく提案内容で、なぜ「博多の水炊き」を提供するのか理解に苦しみます。小田原名物であれば、蒲鉾、水産物などにより火気の利用は不要だったのではという質問が4/16の厚生文教常任委員会でもありました。
次は史跡への影響についてです。まず、建築主である小田原市と、工事会社であるタガワ建設工業社、設計監理会社である秋山設計社との契約が締結されていないまま工事が実施されていました。
また、「史跡には全く影響はありません」という守屋市長の説明は、情報公開請求で明らかになっている市職員のメール内容と矛盾します。調査が必要なのではないでしょうか。
また、史跡上の柊を伐採許可が出る前に伐採したり、石材を勝手に移動させたり、掘削したりなどしている実態も明らかになっています。
次は厨房増設の経緯についてです。史跡上への増設工事は公募時の要件を定義した「清閑亭特記事項」に「行えない」と明確に定義されており、「有益な提案は取り入れる」という範疇を大きく逸脱しています。
火気を利用する増設を伴わない提案が他の8社からあり、4/16の厚生文教常任委員会でも、通常であれば、このような公募要件を逸脱する計画になったら一度白紙撤回すべきだという趣旨の発言が原委員よりなされていました。
また、小田原市が増築工事の許可を得るために文化庁に提出している文書の内容とも矛盾しており、明らかに「清閑亭の利活用ありき」の増築がなされていると考えています。
「史跡や登録有形文化財の価値を保存しながら活用すること」が優先されていれば、そもそも火気の利用も史跡上の増設工事も行われなかったと考えます。
次は賃料についてです。こちらにもまとめていますが、文化財という価値が加わっているにも関わらず、坪単価平均2万円以上という周辺のテナント賃料と比較しても10分の1ほどに設定されています。営利目的で運営されるのであれば、本来は入札などによる公平な方法で決定されるべきではないでしょうか。
また、JSフードシステム社が実質的に独占している土地部分に関しては、費用が発生していないばかりか、小田原市が庭の管理費用を年間200万円負担しており、残りの40万円は修繕積立費となるため、市の実質的な収入はゼロとなります。
また、「※建物・庭園の維持管理に係る費用、清閑亭(小田原の歴史・文化)をPRするための費用は事業者負担とする。」という公募時の条件とも乖離します。
次は契約関係についてです。小田原市とJSフードシステム社の間で、増設工事、内装工事にあたって締結されていた覚書は以下のものだけです。また、建築主である小田原市と、工事会社であるタガワ建設工業、設計監理会社である秋山設計との契約も存在しなかったようです。
史跡の保護、文化財の保護、損害賠償責任、原状回復義務など何も定義されていません。小田原市の所有する国指定史跡上への増設工事、文化財の内装工事を実施するにあたって、本当に適切だったのでしょうか。
小田原市が行っている他の工事はどうなっているのでしょうか。これだけの契約内容で工事を実施してしまうことは、通常では考えられないはずです。
また、営業許可前での違法行為の直後に、期間、賃料、原状回復義務などにおいて、市が不利だと見られる賃貸借契約が締結されていたことも疑問です。
守屋市長が近隣とのトラブルの存在を認められました。一方、小田原市の視点では「しっかりと対応しております」と説明していますが、近隣住民の一部は、悪化した住環境に対する小田原市の対応に納得しておらず、未だ営業に反対しています。
そもそも、このようなトラブルは営業開始前に近隣住民と十分な確認を行い、事前に回避すべきものだったのではないでしょうか。
少年院跡地の開発に関しても、反対する住民の署名活動が行われているようですが、開発優先、住民軽視と言われない対応が必要でしょう。
以上、守屋市長による説明に対する私達の見解となります。結論としましては、やはり第三者による一連のプロセスの調査が必要であるという意見です。