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『世界時々フィクション(No.11)』アメリカで銃の売上が増加中!?

緊急事態宣言が6月20日まで伸びた。色々なことがまだ止まりそうだ。ワクチンが接種出来るようになるのはいつだろうか。医療機関関係者への接種は始まっている。さて、私に打たれるのはいつのことだろうか。

ニューヨークタイムズを読むと、アメリカで銃の売上が増加しているという情報が飛び込んできた。なるほど、アメリカは銃社会だ。売上によって、人々の心理状態も見えてくるというものだ。

どうやら、アメリカでは選挙のたびに銃の売上が上がるらしい。それも日本ではピンとこない話だ。しかも、今は選挙前ではないというのに、銃が売れているらしい。

この記事は六本木のルノアールで書いている。コロナ前に来た頃は、もっと活気があった。今じゃテーブルがクリアボードで仕切られていて、会話は小声でお願いしますとなっている。活気のない喫茶店ってのも嫌なものだ。

「だからそれは説明した通りじゃないですか?」

半年前だっただろうか、隣の席で怪しげな金融商品かマルチ的な商品を取り扱っている風の男が二人、喧嘩腰で話していた。そんなわけのわからん会話が聞けるのも、六本木ルノアールの醍醐味なのだが、その日は清潔感のある女性がノートパソコンを打っているだけで、なんとも健康的なものだった。

ここのトイレはダイヤル式だ。暗証番号を店員に聞かなければならない。しかも一度店外に出なければならない。なんとも手間がかかる。

翌日からは仕事だった。ああ、もっと休日が続けばいいのに。私はニューヨークタイムズを読み進めた。すると、隣の席から女性の会話が聞こえる。

「全然連絡くれないなんてどう思う?」

おそらく、彼氏がこまめに連絡しないタイプなのだろう。LINEでやり取りが簡単に取れる時代だ。女性によるだろうが、連絡の頻度は男女関係を左右する一大事件だ。これを軽く見ていると、大抵どんな関係も破綻する。私は聞き流しながら、執筆を急いだ。

アメリカは銃を捨てる日はくるのだろうか。日本の廃刀令は1876年だ。およそ145年前の話だ。

さて、その日は、北川と面談だった。場所は恵比寿にした。夜になって、私は六本木から恵比寿へと移動して、店に入った。この料理店は個室があって、聞かれたくない話をするにはもってこいだ。もちろん、会社経費だ。話の内容はまったくもって嬉しくないものだが、北川は喜んでいた。酒を頼み、色々な話をした。幼い頃の話、大学時代の話、会社に入ってから、色々なプロジェクトを乗り越えてきているマネージャーだ。話も面白い。

「それで、上田君との間には何かあったんですか?いや、何かあったんでしょう?」

私は酔った勢いを借りながら、本音を探りだそうとした。彼女の口も軽くなっている。

「恥ずかしい話ですが、一度ありました。出張先のことです。酔った勢いですよ。小林さんもわかるでしょう?あなたモテそうだから」

「いい男といい女がいて、何もない方が不健全ですよ」

「たった一回ですよ。ワンナイトですよ、あのコがそんなにナイーブだとは思わなかったわ」

「経験が少ないんですよ」

「ハッキリ言って、馬鹿馬鹿しいわ」

北川はサラリとした髪の毛をくしゃっとさせて、腕組みをしてから、綺麗で細長い手を顔の前にやって、眉間に皺を寄せた。

(続く)

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『世界時々フィクション(No.11)』アメリカで銃の売上が増加中!?

参考記事:
By Sabrina Tavernise, "An Arms Race in America: Gun Buying Spiked During the Pandemic. It’s Still Up.", “The New York Times”, Published May 29, 2021 Updated May 30, 2021

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