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教室に並んだ背表紙

読み終わった直後、「もう一度読み直したい!」という気持ちになりました。いや、正直にいうと、最後の章を読んでいる最中に、一章と二章のページを同時にめくりながら読み終えました。そういう読み方をしたのは初めてでした。作家:相沢沙呼さんのトリック、すごいです・・・。

また、
「図書室に整然と並んでいる重厚な書架たち」
「そこに収められている色とりどりの背表紙」
という二行があり、ごくごくありふれた図書室の風景の描写ですが、すべてを読み終わったあと、その意味に感動し、奥の深い喩えになっていることに関心させられました。

どの短編の主人公も、直面する現実に迷い、悩み、なんとか割り切り、でもどうにかして自分らしくありたいと願う気持ちが痛いほど伝わってきて、
読んでいて苦しい描写もありますが、司書の先生の寄り添い方、アドバイスの言葉、優しさが、主人公たちの心に染みわたり、生きていく上での道標となっている点も、この本の大きな魅力です。

                           書いた人:H.k


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