Book Review -せんせいのどくしょかんそうぶん- をスタートします。 宿題ででる「読書感想文」。中には苦手な人もいるかもしれません。 本を読むのが好きな人でも、書くのは苦手な人もいるかもしれません。 なぜ、このタイミングで始めるのか?実は、本の感想を書き留めておくのが好きな一部の先生たちで記録をしていました。そんな中、GIGAスクール構想によって、良くも悪くも1人1台のICT端末が導入されICT機器がより身近になりました。さらには、ChatGPTのニュースなど、
舞台は「しまなみ海道」。 この本を購入する前にそれを知り、自分が20年ぐらい前に広島県の尾道からレンタカー借りて「おのみち街道」を走ったことを懐かしく思い出したので、読んでみることにしました。 小6のコタと小4の風馬の変わった出会いから始まる物語です。コタの野性味あふれる元気さと、少し謎めいた風馬の迷コンビぶりが、爽やかな「しまなみ海道」と妙に合わさり、ぐいぐいと読者を先へ読ませる力強さがあります。最後は風馬の「走る理由」が明らかになり、2人の関係性もいつの間にか「親友」
読んでみて、印象に残った言葉がいろいろありました。 「子どもにはわからない、と大人が思っているってことが子どもにもわかっているんだってことを、どうやったら大人にわからせることができるんだろう。」 「親切にするって、親切にしてあげてるほうはいい気もちになれるけど、ずっと親切にされるのって苦しいかもしれないから。」 「いい人間になろうと自分で思って何かするってことはまちがいだった」 「いい人がまるごといい人ってわけじゃないし、悪い人だと言われてる人がまるごと悪いわけでもないよ。」
7つの短編で構成されている【タイムマシンに乗れないぼくたち】。 どのお話も印象深かったけれど、共通しているのは、「住んでいる世界から少し外れた場所で何とかがんばって生きている人たち」が主人公だという点、そして、何か大きな事件やハプニングが起きるわけではないけれど、その主人公たちが自問自答しながら悩み、他者との関わりの中で、不確かではあるけれど「道」を見出していく、という点です。 だからこそ、読者として共感できるところや、自分自身の過去の出来事と重なるところがあり、「そうだ
4月10日に「2024年本屋大賞受賞」が発表され、 大賞に【成瀬は天下を取りにいく】が選ばれました。 それ以前にも様々な文学賞を受賞している本だったので、 早速、読んでみました。 主人公の《成瀬あかり》、今までにない中学生(高校生)でした。 1ページの1行目から最後の章まで、その個性的なキャラクターが一貫して描かれていて、読んでいて爽快感があり、(共感はできないけど)なんだか応援したくなるような、何を考えているのか分からないからもっと知りたくなるような、そんな人物でした。
計7つのストーリーでは、 葛藤、よくある勘違い、自分に対する評価など、 中学生という年齢特有の心情の揺れ動きが丁寧に描かれていて、 共感する場面がたくさんありました。 その中でも、やはりキーパーソンとなっているのが 「黒野良輔」でしょうね。 言ってみれば、脇役です。 でもこの本の主人公とも言えるキャラクターです。 特定の部活に入らずにふらふらと立ち回っているのも、 「人間ほどおもしろいもの、ほかにないですよ。」と言うのも、 ちょっとした数々の仕草も、 すべてが読者に対する伏
休みの日にはアレをしたい、コレをしたいと色々考えて早起きしようと意気込みます。 大体、二度寝したり、布団から出られなかったりして午前が失われます。 そして午後に後悔しながらバタバタとやりたいことを進めています。 来週こそはアレをするんだと決意を固めて、休日を終えます。エンドレス。 どうしてこんなにも「睡眠」に惹かれてしまうのでしょう。 寝ている間は生き物として最も無防備になる瞬間ですが、どんな生き物にとっても必ず必要な行動でもあります。 寝ないで動き続ける方が、圧倒的に生き
この「もやもや」が『モチベーション3.0〜持続する「やる気!」をいかに引き出すか〜』を手に取った理由だ。 何者でもない私が、なぜ人様の大切なお子さんを預かっているのか? 何のために教育に関わる仕事をしているのか? いやいや、こんな考えを持っていてはプロフェッショナルじゃない。 教員としてのプロフェッショナルって何? あれも、これも、それも、まだまだ何も解決できていないのに、これって教員としてプロフェッショナルなの? あれ?何を目指して教育現場にいるんだっけ? 「もやもや=
まず、題名と表紙に惹かれました。リカバリー? カバヒコ? 表紙のカバの絵は何だろう? そこに座っている女の子はどんな人物だろう? 本の帯に書かれている「カバヒコに触れると、治したいところが回復するという。」「青山ワールドの真骨頂」という文。いろいろと気になりながら、読み進めてみました。 5つの短編から構成されていて、主な登場人物は5人。でもやはり、作家・青山美智子さんらしく、それぞれの人物たちが悩み、自問自答しながら、日々を生活する中でお互いがどこかで関係しあい、影響しあ
「最強の楯」VS「至高の矛」 戦国時代、どんな攻めにも耐えられる鉄壁の石垣作りを目指す石垣職人と、どんな守りも攻め落とす最強の鉄砲作りを目指す鉄砲職人の戦いを描く歴史小説です。 武士の戦の影で繰り広げられていた、最強を決める戦い。戦の勝ち負けは、名のある戦国武将の強さだけで決まるわけではない、という、至極当たり前のことを再認識させられました。 それぞれの職人たちが作るものの形は真逆ですが、目指すものは同じ「戦なき世界」という部分も胸を打たれます。 石垣職人というコアな
一章から五章まである物語。 でも、それぞれの章に登場する人物たちは、実は互いにつながりあっていて、重要なタイミングでその関係性が浮き彫りになる。そして最終章に向かって「苦悩や弱さ」と「こうありたいという願い」が交錯し、最後は人物たちの心が満たされるお話。 また、物語の中に何度も登場する『ツキない話』というポッドキャストが人物たちを運命的につなげていて、それを中心に物語が構成されている点も必見(必読)です。 読み終わったあとに外を散歩したら、ちょうど夕方の白い月を見かけまし
この本は、発売された時から気になっていて、文庫本化されていたので手にとってみました。 とにかく5つの短編の題名がユニークです。 【逆ソクラテス】 【スロウではない】 【非オプティマス】 【アンスポーツマンライク】 【逆ワシントン】 まったく話の予想がつかないまま読んでいきましたが、【逆ソクラテス】 の「自分の先入観がいかに、あやふやなものか思い知らせてやるんだ。」 「ぼくはそうは思わない。」 この2つのセリフが物語の展開に大きく関わっていて、なるほどなと思いながら読み進
あつかったらぬげばいい ヨシタケシンスケ:著 (MOEのえほん) このシンプルな問いと答えに、どう向きあき合うかがこの本を楽しめるかどうかと思われます。というのは、ほのぼのとしたイラストよりもはるかに内容がシンプルではないから。唸らされたり、ほぉぉと考えさせられたりするのです。 もし楽しめなさそうなら、イラストだけでも十分楽しめます。例えば、 それでいいじゃないか、と思わせつつ、いやでも・・・という気持ちを残させる。でも、その先にあるのは「まぁいっか!」 自分の思いを
自分は食べることが好きなので、表紙の絵と題名を初めて見た時、すぐに興味が惹かれました。 そして、本の帯に書いてある、 「40年以上愛された百貨店大食堂が存続の危機に。従業員たちは、古き良き大食堂の未来を守れるのか!?」 というフレーズを読んだ時、昭和の香りが漂うと共に、食べ物や食堂などが関係している本はあまり読んだことがないなあ、と思ったので、すぐに購入して読んでみることにしました。 まず最初に目次を見たら、オムライスやクリームソーダやエビフライやナポリタンなどの文字があ
読み終わった直後、「もう一度読み直したい!」という気持ちになりました。いや、正直にいうと、最後の章を読んでいる最中に、一章と二章のページを同時にめくりながら読み終えました。そういう読み方をしたのは初めてでした。作家:相沢沙呼さんのトリック、すごいです・・・。 また、 「図書室に整然と並んでいる重厚な書架たち」 「そこに収められている色とりどりの背表紙」 という二行があり、ごくごくありふれた図書室の風景の描写ですが、すべてを読み終わったあと、その意味に感動し、奥の深い喩えにな
連作短編小説のこの本は、「1958年 立春」という短編から始まり、その後は「1975年 処暑」「1988年 秋分」「1999年 夏至」「2010年 穀雨」「2022年 立春」と続いていくユニークな構成になっています。 ただ、四世代にもわたる物語となっていて、家族のつながり、連綿と受け継がれる精神、様々な家族の在り方などを味わうことができます。 読み終わって真っ先に思ったことは、自分も(結果として)受け継いでいる「物」はあるのかな?という気持ちでした。家の中を探したら、あり