高校・大学を楕円球でつなぐラグビー部の練習にZOOM
『sful-成城だより』では、「Go! Go! 課外活動」と題して、成城大学の課外活動の様子をお伝えしています。Vol.18ではラグビー部特集を掲載。初等学校から大学までラグビーに触れる環境がある成城学園ならではの、高校と大学の合同練習にZOOMしました。
1928年創部の伝統を誇り、世界的指揮者の小澤征爾氏もプレーをした成城学園ラグビー部の絆をつなぐ今をご紹介します。
秋晴れの土曜日。恒例の高校・大学の合同練習があると聞いて伺いました。練習に先立ち、高校生2人、大学生4人にインタビュー。合同練習への思いとラグビーの魅力を語ってもらいました。
縦のつながりの強さは伝統であり誇り
――ラグビーは体をぶつけあうコンタクトスポーツ。体格差がある高校生と大学生の合同練習は珍しいと思いますが、率直な感想を教えてください。
「大学は部員数が18人のため、単独ではなかなか対人練習ができません。高校と合同練習をすることで試合形式の練習ができています」
「僕たち高校生にとってはレベルの高い大学生の先輩と練習ができるのは、すごくプラスになっています。サインプレーを教えていただいて、実際に試合で実践しています」
「こうやってできるのは、初等学校からラグビーにふれる機会があり、縦のつながりが強いから。それは成城学園の伝統であり強みです」
皆さんが語る言葉からは、合同練習をとても大事にしていることが感じられました。縦のつながりは在学中だけでなく卒業してからも続いています。この日も、グラウンドにはOB・OGが駆けつけ、パスのタイミングを指導する声や、ナイスプレーへの声援が響いていました。仕事の合間を縫ってのコーチングに加え、練習道具の提供や試合、合宿の際の支援もあるそう。さまざまな面でのサポートに対する感謝の声も次々と聞かれました。
――ラグビーを始めたきっかけを教えてください。
「親のすすめです。体をぶつけていいということに衝撃を受けました」
「兄がやっていたからです。初めてのときは、とんでもないスポーツだと思いました」
そのほか、「友人に誘われて」「初等学校のときにみんなでプレーしたときの楽しさがきっかけ」など、きっかけや理由はさまざまですが、皆さん10年以上のキャリアがありました!
みんなに活躍できる場があり、みんなで勝利を喜べる
――ラグビーを続けてきた、魅力はどこにありますか?
「1チーム15人でプレーをするので、チームスポーツの中で最大。一緒にできる仲間が多いことです」
「格闘技のように相手に思いっきりぶつかってもいいし、ラン、パス、キックなどプレーが多様で、例えば球技が苦手な人でもできます」
「小学生のころに読んだ漫画に『ラグビーは誰でも主役になれる』という言葉があって、すごく印象に残っています。重くてパワーがある人も、小柄で素早く動ける人も、それぞれに役割があって活躍できるポジションがあります」
「もちろん、自分より大きい相手に向かっていく時は怖いし、タックルで倒されれば痛いのですが、苦手だったプレーや地道なことでも少しずつうまくなって、結果につながると楽しいんです」
「それぞれが体を張って練習して、自分の役割や責任を全うすることで信頼関係が築かれていくんですよね」
「そうやってチーム全員で戦い乗り越えていくから、試合に勝った時の喜びは、ほかのどんなスポーツより大きいんじゃないかと思います」
ラグビーはボールより前でプレーはできない競技。常にボールを持った人が先頭に立ち、後ろに味方14人がいることを信じて前に進みます。倒されても痛がっているひまはありません、すぐに立ち上がって味方のためにプレーに参加する。「きついからこそ、楽しくないと続けられません。やはり好きなんです、ラグビーが」という飾らない言葉に熱い思いを感じました。
ボールをもっていない選手の動きにも注目を
――ラグビー部あるあるを教えてください。
「中学・高校の6年間で体重が40㎏増えました」
「僕も高校時代に30㎏増えました」
「太ももや尻が大きくなって、ズボンがパンと破れるのはラグビー部あるあるです(笑)」
「高校3年なのですが、今も制服を買い替えるべきか迷い中です……」
筋肉を増やし体を大きくするために、しっかり食べてウエイトトレーニングもこなしているラグビー部員たち。食べる量も相当なもので、「高校時代は1日7合食べていた」人や寿司を40皿食べたツワモノもいるとか。
――ラグビーのここを見てほしい!というポイントを教えてください。
「華やかなアタックやトライシーンに注目しがちですが、ラグビーはやはりフォワードがあってこそ」
「そうなんです。トライを獲るまでの過程を注目して見て欲しいです」
「実際、一つのタックルが試合の流れを変えることもあります」
「ボールを持っていない選手が、どう準備してどんな声かけをしているかもぜひ見てください」
皆さんのコメントからは、全員が主役でありお互いの献身的なプレーを認め合うラグビーへの愛と、その面白さをもっと知ってほしいという思いが伝わってきました。
中学校高等学校・ラグビー部顧問の仲西拓先生からも「ラグビーは試合が始まったら、グラウンドにいる選手だけで判断しゲームをコントロールするスポーツ。日頃からミーティングも選手たちが主体的に行っています。教室とはまた違った輝きを見せている姿を、練習や試合でぜひ多くの方に見てほしいです」とのことでした。
高校ラグビー部は、第103回全国高校ラグビー大会東京都予選で決勝まで勝ち進み準優勝しました。あと1勝で花園(全国大会)という経験をしたラグビー部の今後がますます楽しみです。
インタビューを終えて
一緒にプレーする仲間や先輩・後輩へのリスペクトを和気あいあいと、ときには照れながら語ってくれた高校生、大学生の皆さん。グラウンドに出て練習が始まったとたん、集中力にスイッチが入り全く違う表情に切り替わったのが印象的です。さらに試合形式の練習になるとギアが一段上がり、お互いに動きや役割を確認し責任を果たそうとボールに果敢に向かっていっていました。「ラグビーは、少年をいちはやく大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる」(仏代表元主将のジャン・ピエール・リーブ)の言葉、そのままの姿でした。
文=中城邦子 写真=佐藤克秋
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