金魚すくい【面白いショートショート見つけた】
面白いショートショートを見つけたのでシェアします。
面白いの意味は、「笑える」という意味と「勉強になる」の意味の両方です。笑える方は読めばわかりますのでここでは言いません。勉強になる方だけにします。
最初に面白いポイントはデメキンを家に持って帰ります。その時点でデメキンはただの金魚でおっさんから「貰う」、そしてバケツに「入れる」、つまりは「物」なのです。ですが、その直後に『おい そのまま入れるな馬鹿』とその物である金魚にセリフが入ります。
「物」がいきなり、何の前触れも無く「登場人物に変化」します。これはものすごい展開です。
しかもその次で、主人公の人間は金魚に「指示される」立場になります。その間に人間は金魚が喋った事に驚く事が無く、支持される事に何の疑問も感じません。ただ従います。それから主人公の地位はどんどんと下がり、面と向かって何か言うことはせず「乾燥しないようだ」と脇から観察しています。そして「床がべちょべちょ」でも文句が言えず、やっと最後に餌代を減らす交渉に出ます。
何が自然な事で何がそうでないのかが完全に攪乱されてわからなくなっています。内田百閒のよう? 1Q84? カフカ? すごい面白いです。
自分でこういうふうに書けるかというと、けっこう難しいのではないでしょうか? 例えば、SFの設定で猿が喋るとか人間以上の能力をもっているというようなのは思いつきます。映画で実際にあります。でも、いつものように犬を散歩に連れて行ったらいきなり犬が喋ってその状況がその時点から普通の事のように進行するなんて、なかなか書けませんよね? できてもこれほど自然に書くのは難しいです。
金魚が喋った時点でお話のバックグラウンド(設定等)が変化して、それに登場人物が気付かないでそれが自然な事のように連れて行かれてしまう感じ、と言ったら良いでしょうか?
wsd983320987さんありがとうございます。