自分がつくる房の駅の未来に賭けてみませんか?Vol.19
野菜、果物の生産者開拓がはじまった。
生産者たちは口を揃えて同じことを言った。
「市場に行けば全部買ってくれるから」
「おまえのとこが売れる保証はあるのか?」
「農協優先だからそっちにはだせない」
「道の駅ができるからそっちに出荷するからさー」
「農家にはいろんなシガラミがあるんだよ!」
出荷することを何度も断られた。
諏訪商店という名前は一切通用しなかった。
房の駅に出してくれたら他の生産者はいれません。
房の駅に出してくれたら広告で宣伝します。
房の駅に出してくれたら。。。。
どんな良い条件も通用しなかったし説得材料にすらならなかった。何度通っても三顧の礼なんて通用しない。
・アルバイトをしないと農家で食ってくなんてできないよ。
・息子に後を継がせるなんてできるわけない、サラリーマンやらせた方がずっとマシだ。
・軽トラほしいけどそんな金はどこにもない。
・農家なんてさ、趣味だよ。
・どんな良いものつくったって皆んな値段一緒だからこだわったって意味がない。
農家の人から出てくる言葉はびっくりするほどネガティブなことばかりだった。
最初はこのネガティブな言葉にウンザリだった。
でもこの言葉を何百回も聞かされていくうちに
「未来を変えたい」という自分自身の言葉に心が込もった。
「自分がつくる房の駅の未来に賭けてみませんか」
生産者探しから1ヶ月たったときマンガみたいなカッコいいキザなセリフが自分の口から出てきた。
できるか わからないのにこの上っ面な言葉に生産者たちが騙されてくれた。
房の駅に出荷するよ。
第1号は昼間さんという生産者だった。
「駅長」に着いていくから!よろしく!
今でもあのときの笑顔は忘れない。
梨の生産者の文治さんが
おめーに賭けるから肥料も1番高いの買ったからな!と言ってくれた。
根本さんが音信米(おとづれまい)という名前を大切にしてほしいと預けてくれた。
金髪の飛田和さんがオープンを信じてニンジンを出荷するのを止めてオープンを待ってくれた。
田中さんと川木さんがわざわざ鴨川から届けてくれることを約束してくれた。
話せばキリがないけど背負っていくものが1つずつ積み重なっていった。でも不思議なほどプレッシャーはなかった。きっと自分に農家の人たちと心中する覚悟があったからだ。
どんな理論や理屈も 心が込もったときには敵わない。キザなセリフや言葉は本気でおもってないと役者じゃないんだから発せるわけがない。そしてなによりも無我夢中だと自分自身がキザなことを言ってることなんて気付かない。
房の駅の野菜、果物の品揃えは今でも穴だらけだ。
でも それは今の生産者を選択し、オール千葉県産にこだわったからだ。
夏には大根もニンジンもない。バナナも売っていない。お客様からは不満しかない。でもこれは房の駅を信じてくれた千葉県の農家とともに生きていくという自分の決意だ。だから品揃えのことは勘弁!
諏訪聖二 房の駅を立ち上げるまで
あと1ヶ月。
今でこそ生産者からもひっきりなしに応募があるし、オファーを断る生産者なんて皆無だ。でも買い手だからといって立場が上なんておもわないし、下だともおもわない。良いものをつくってもらって良いものを売る。そして房の駅の未来に賭けてもらう。シンプルだ。
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