「優雅な生活が最高の復讐である」を読んで

　本書は、約一世紀前のアメリカ人マーフィ夫妻の生活を描いたノンフィクションである。内容も素敵なだけでなく、装丁もとても素敵で、そこからも夫婦の当時の生活の様子が、伝わってくる。
　ところで、私の大学生のころ、なんでこんなに優しかったり、心に余裕のある、友人や先生がいるのだろうと思うことがあった。彼ら彼女らは、必ずしも、マーフィ夫妻のように育ってきたわけではないのだろうが、本書を読んで、今思うとどこか通じるものがあるような気がする。読む前には全然気づことができなかったことに気づくことができた。
　本書の内容に戻ると、マーフィ家自体は確かにお金持ちと分類されると思う。しかし、どういうわけか嫌味さはなく、ちょっとした優雅さにあふれた生活を送っていたことが、視覚的に感じられるように描かれている。夫のジェラルドは芸術家でもあり、以下のリンクのMoMAのコレクションにもあり、本書には写真も載っている。とても素敵な絵なので、もしよければMoMAのページを見てほしい。

https://www.moma.org/collection/works/80570?artist_id=4181&page=1&sov_referrer=artist