ラグランジュとオイラー
流体の運動を考えるとき、大きく二通りの方法があります。
ラグランジュの方法とオイラーの方法です。
ラグランジュとオイラーはそれぞれ、数学・天文学分野において偉大な業績を残した研究者です。二人の名を関した手法にはどんな違いがあるのでしょうか?
これらについて、復習を兼ねてまとめてみます。
ラグランジュの方法
こちらは質点の運動を考えるときなどにおなじみの、流体を粒子の集まりとみなして、各粒子がどのように運動するかを調べる方法です。
言い換えると、各粒子の軌跡を追うことで流体を考える方法になります。
定式化してみましょう。
時刻 $${t = 0}$$に座標$${(x_{0}, y_{0}, z_{0})}$$ にある流体粒子を考えます。この粒子が時刻 $${t}$$に占める位置を $${(x(t), y(t), z(t))}$$ とすると関数を用いて、次のような関係を持つと考えられます。
$${x = f_{x}(x_{0}, y_{0}, z_{0}, t), y = f_{y}(x_{0}, y_{0}, z_{0}, t), f_{z}(x_{0}, y_{0}, z_{0}, t)}$$
このとき、$${x, y, z}$$はいくつかの独立な変数によって決定される 従属変数 と呼ばれるものになっています。
オイラーの方法
こちらは、各時刻において空間の各点における流れの有様を調べる方法になります。
ラグランジュの方法が各粒子の歴史をもとに流体を紐解くものであったのに対し、オイラーの方法は各時刻における流れのスナップショットをとり、繋げることで流体を紐解くものといったところでしょうか。
定式化してみましょう。
オイラー的に見た場合、流れを特徴づける量を $${F}$$とするとこれが各時刻・各位置ごとに決定されるので、
$${F = F(x, y, z, t)}$$
というように、独立変数$${x, y, z, t}$$によって表されるものとなります。
流れFの変化をラグランジュの方法で見る
$${(x, y, z, t)}$$における流体の速度を $${\bm{v}(u,v,w)}$$とする。
Fの変化は、粒子が微小時間 $${\Delta t}$$における粒子の動きから考えることができる。たとえば、$${(x, y, z, t)}$$ にあった粒子は、$${t + \Delta t}$$において、$${(x + u\Delta t, y + v\Delta t, z + w \Delta t)}$$に動く。
これらをかんがえると、Fの変化$${\Delta t}$$は
$${\Delta F = F(x + u\Delta t, y + v\Delta t, z + w \Delta t, t+\Delta t) - F(x, y, z, t)}$$
よって、
$${\Delta F = \frac{\partial F}{\partial x}u\Delta t + \frac{\partial F}{\partial y}v\Delta t + \frac{\partial F}{\partial z}w\Delta + \frac{\partial F}{\partial t}\Delta t + O((\Delta t^2))}$$
これの $${ \Delta t }$$ → 0 の極限をとった、
$${\frac{\Delta F}{\Delta t} = lim_{\Delta t → 0} \frac{\Delta F}{\Delta t}}$$
をラグランジュ微分とすると、
$${\frac{\Delta F}{\Delta t} = \frac{\partial F}{\partial x} + \frac{\partial F}{\partial y}+\frac{\partial F}{\partial z}+ \frac{\partial F}{\partial t}}$$
と表すことができる。
この $${\frac{D}{Dt}}$$ を演算子の形で表すと、
$${\frac{D}{Dt} = \frac{\partial }{\partial t} + \bm{v} \cdot grad}$$
$${grad = (\frac{\partial }{\partial x}, \frac{\partial }{\partial y}, \frac{\partial }{\partial z})}$$
となる。
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