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将来不安に備えてとるべきリスクとは
「若い頃、生きていくうえで金ほど大事なものはないとよく思った。こうして年をとってみると、なるほどそうだと思う」
これは英国の劇作家オスカー・ワイルドの言葉だ。人間とお金の関係をみごとに言い当てている。金の亡者になる必要はないが、不安の少ない生活には取りあえず必要なのだから。
紀元前7世紀の王国リディアで硬貨が初めて使われるようになって以来、人間は金儲けに明け暮れてきた。そんなことはないと言う人はよほど変人か聖人か代々資産家か嘘つきだ。その証拠に、ドリームジャンボ宝くじの売り場には毎回長蛇の列が出来る。
みんな心の底で一攫千金を狙っているのだ。しかし、宝くじだけに期待をかけていたのではあなたの将来はお先真っ暗。3億円が当る確立は藁の中に落ちた針を探すようなものだからだ。
ではどうすればよいのか。答えはふたつある。
ひとつはコツコツと貯金をすること。だがいくら節約して貯めても、今の低金利では利息は雀の涙より少ない。インフレが襲ってくれ物価が上がると実質的に預金は目減りしていまう。
そこでもうひとつの方法、投資に目を向ける必要がある。私は基本的にフリーランスという経済的に不安定な立場で仕事をしてきたため、若い頃から資産形成のポートフォリオに関心をもってきた。
世の中には債券、株、投資信託、外貨預金、不動産、投資ファンド、ゴルフ会員権、芸術品などさまざまな投資商品があるが、少ない元手で始めるのなら、やはり株投資が一番ではないか。
私がわずかな貯金を下ろして初めて株を買ったのは20代半ばの頃だった。ある皆さんご存じのある大手電機会社の規則的な株価の動きに気づき、まず30万円ほどで1000株買った。そして株価が40万円まで上がったところで売った。しばらくして株価がまた30万円に下がったので買いをいれ、10万円ほど値上がりしたところで再び手放した。専門用語でいえば「ボックス圏」の値動きだったわけだ。当時はそんな言葉は知るよしもない。ただ、この繰り返しで数ヶ月の間に手持ち資金は2倍以上に増えた。
安いときに買って、高いときに売る。じつに簡単なことだった。ややこしい理論やチャートなど不要だった。
ただ、購入する前にその企業の業績や方針、経営者の人柄と能力を調べるとともに、株価の動きを少し研究する必要があるということには気づいた。株式市場は美人コンテストと似ていて、人気のある企業に投資家は群がる。
もちろんいつも勝てるわけではない。しかし若い頃に優良企業に投資していれば、株の場合は競馬のように元手がゼロになってしまう危険はよほどのことが無い限りない。チャンスはまた訪れるのである。
専門家は分散投資を勧めるが、投資はむしろ集中したほうが儲かると私は思っている。決めた株に思い切って資金を集中させる。もちろん全額を1銘柄にぶち込めといっているのではない。例えばトヨタのような手堅い株に半分、残り半分を値動きの激しいネット株にという具合に2から3銘柄程度に集中させるのだ。
こういうのをコア・サテライト投資と呼ぶと後になって知った。つまり安定株(コア)を長期保有しながらリスクのともなう銘柄(サテライト)で勝負するのである。その割合はあなたの性格を分析して決めればいい。
よく言われるようにボトルに半分しか入っていないウィスキーをみて、あなたは「もう半分しかない」と感じるのか「まだ半分ある」と思うタイプなのかということだ。これを見誤ると人生が不幸になる。
持ち株が少しでも下がると心配になる人はコアを9割、サテライトを1割にすれば心安らかに過ごせる。反対に私のようにリスクを取りたがる性格の人はコアを5割、サテライトを5割にすればいい。もしサテライトで全額失ってもまだ半分残っていると思えばいいのだ。
株式市場である程度の資金が出来たら、不動産や事業に投資するのもいいだろう。ずいぶん前のことだが米国で『金持ち父さん父さん父さん』の著者ロバート・キヨサキさんをインタビューしたことがある。
彼は、ハワイでウェットスーツの素材を使った財布を考案して会社を設立した。倒産など波乱の人生を経験したが、その後アリゾナ州フェニックス郊外のゴルフリゾートの一角に邸宅を構え、中にはプール、駐車場には3台のポルシェが並ぶ生活を楽しんでいた。
「お金のために働くのではなく、お金に働かせて自由な生活を勝ち取る賢い投資家になれ」というのが彼の持論だった。最も重要なことは、リスクを乗り切らないとだめだということだ。会社を辞めるのは危険すぎる、投資はリスクが高すぎる、と低い収入しかない仕事にしがみついているとしたら、それはあなたが自分の本当の気持ちに正直ではない、と彼は言う。
歴史を振り返れば、いつの時代も大負けしてもかならず次は勝てるという楽観主義者が人生の成功を掴んでいることが多い。無謀なギャンブルを勧めているわけではない。ギャンブルがしたければラスベガスへ行けばいいのだ。ただ、まだしばらくは続きそうな低賃金、低金利時代で、多少のリスクを恐れない賢い投資が必要だと私は思う。
そのための7つの選択と4つの行動習慣を『男の定年語を死ぬまで幸せに生きる方法』という本にまとめた。ご興味のある方はぜひご一読ください。