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そうだったのか、一度会った相手の名前を忘れない秘訣と「歴史的健忘症」

 海外のパーティ、あるいは日本在住の外国人の集まりなどに招待されて私が一番困るのは”名前”です。恥ずかしながら私は会ったばかりの人の名前がさっぱり覚えられない。正確さをモットーとするジャーナリストとしては致命的な欠陥です。

 しかも40歳を過ぎたあたりからこの傾向はますます顕著になりました。

 そのような会に出席すると毎回10人や15人の人を紹介されます。例えば「こちらはピーターさんでコンピュータ会社にお勤め。こちらの女性はキャシーさん。ニューヨークの弁護士さんです」といった具合。

 その都度こちらは微笑みを絶やさずに握手をしながら「私はセイイチ・カニセです。ジャーナリストでニュースキャスターもやっております。よろしく」と自己紹介します。

 ところが暫くするとさっき挨拶した人の名前がもう出てこない! そんなときに限ってその人がまた親しげに話しかけてきたりする。あちらは「セイイチ、セイイチ」とこちらのファーストネームを連発するけれど、こちらは相手の名前ばミッキーだったかドナルドだったか、はたまたグーフィだったかすっかり忘却の彼方。

 いまさら聞き直すのもなんともばつが悪いのでその場を取り繕い、後でホスト役にさりげなく「あの方は何というお名前でしたっけ?」を恥を承知訊くのが精一杯だ。

 これではあまり情けないので、あるとき旧友のアメリカ人に、どうして君はそんなに沢山の初対面の人の名前を覚えることができるのかと尋ねたことがある。するとこんな答えが返ってきた。

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