鳥のように空を飛びたい
「鳥のように自由に空を飛びたい」。
誰もがそんな夢を見る時があります。機械いじりが大好きだったウィルバーとオーヴィル兄弟も同じでした。違ったのは彼らがその夢を実現してしまったことです。
1903年12月17日、人里離れた常に強風が吹く米国ノースカロライナ州キティホークの砂地で、ライト兄弟は世界初の操縦可能な機体による動力飛行に成功しました。飛行時間はわずか12秒、距離にして120フィート(36メートル)だったといわれています。
開発着手から4年半での快挙。この人類史上初の記念すべき飛行でフライヤー号に乗っていたのはオーヴィルただ一人でした。
1927年には「翼よあれがパリの灯だ」の名台詞ですっかり有名になったリンドバーグが、『スピリット・オヴ・センス』号でニューヨーク・パリ間無着陸大西洋横断飛行に成功しています。
ジャンボジェットの名称でお馴染みのボーイング747の初飛行はその42年後、1969年のことでした。76年には、墜落事故が起きるまでの短い時間でしたが、超音速旅客機コンコルドが華々しく就航しています。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで発展してきた航空業界ですが、まだ驚くのは早い。その後、ヨーロッパのAirbus Industrie社はなんと世界初555人のも乗客を乗せて飛ぶ2階建ての巨大旅客機A380を、そしてライバルBoeing社も同様の巨大旅客機でもっと経済性の高い747X(522人乗り)を就航させました。
こうしてみると、まさに21世紀は新たな大量航空輸送時代の幕開けの感じでした。しかし、格安航空会社の急成長で近年は効率を重視した、小型・中型機が主流です。
しかしいったい旅客機はどこまで大きくすることが可能なのでしょうか。Boeing社の開発・戦略担当の重役によると、机上では1,000人乗りまで考えられているそうです。しかし実現はしそうもない。彼曰く、”As they get bigger you can see them getting heavier and less structurally efficient. I think 1,000 passengers is past the stupid point on that curve.”(大きくなるにしたがって機体は重くなるし構造的にも効率的ではなくなる。1000人乗り旅客機なんてバカげているということだ。)”
まったく同感です。そんなモンスターを1機飛ばすより、エコノミー症候群が発生しないゆったりとした座席の中型旅客機を2機飛ばしてもらいたいものです。
ちなみに飛行機開発の歴史では、ライト兄弟よりも前に動力飛行を成功させた日本人がいたことをご存じですか? 1891年、二宮忠八という人がゴム動力による鳥型模型飛行機の飛行を成功させています。空を飛びたいという夢を実現するのに国境はありませんね。今や英国や米国の超金持ち起業家は宇宙を目指していますが。 (写真はWETWING.com)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?