一億円の低カロリー
久しぶりにトレーニングジムに出かけた。プロテインやサプリが並んでいる棚に一億円の低カロリーと書かれた少し大きめのエジプトガラスの香水瓶が売られていた。
中身は何かと尋ねると、「究極の低カロリー、つまり0カロリーの水です。名前は香水瓶を売るためのしゃれでつけました」。と答えた。
忘れられない思い出がよみがえる。
エジプトのカイロからナイル川をルクソールまでクルージングしたときのこと。
旅先でよくある詐欺に遭遇した。
ルクソールで下船して現地ガイドの案内で砂漠を散策していたら、砂漠の中に一人置き去りにされた。
日が照り付けのどが渇くが、水はガイドに預けていた。ここで死ぬのかと覚悟していたら、ラクダに乗った遊牧民が通りがかり話しかけてきた。
「この水が欲しいか?」
「欲しい」
「一億円だせ」
ここは値切るしかないと粘り100万円で買った水が入っていた瓶がこれに似ていた。
トレーニング中のどが渇いた。あの一億円の低カロリーを買った。