氏神さまへ「先祖参り」
「氏神さま」とは、もともと祖先を同じくする一族(氏族)が、その祖先や一族に縁の深い神様を「氏神」としてお祀りしたのが始まりと言われています。
それが時代と共に地域の守り神のことを言うようになり、同じ地域に住む人達に崇敬されるようになって「鎮守さま」と呼び親しまれ、今日に至っています。その意味において、私たちは日々神様の恩恵を受けて暮らしています。
夏の祭りの縁日をなどで、ほとんどの方がお宮に向かって一礼されているのを目にしたことと思います。
貴方もきっとお参りしたことでしょう。この一礼は何を意味するのでしょう。日頃のお蔭様のお礼ではないでしょうか。
私たちは、神さまと暮らしています。年の初めの初詣、春・夏・秋のお祭りはもとより、お宮参り、七五三、成人式に結婚式、新車を買ったから、厄年だからお祓いをと・・。観光バスに乗って立ち寄ったお社にも手を合わせてお参りします。こんなにも神様に出会う暮らしをしています。
このような中で、最近ある種のご質問が増えてきました。今日、自分があるのは先祖と神さまのおかげと言われますが、先祖に出会う機会が少ないんです。「今住んでいる家に仏壇はありません」「実家や、出身地へ行くのは何年かに1回程度ですから、ちょくちょく墓参りは出来ません」何かよい方法はありませんか?
そのときは、お住まいの近くの氏神さまへいらっしゃってください。そして、わが御祖(みおや=ご先祖さま)へも同時に感謝の言葉を申し述べてください。神さまの世界は、八百万(やおよろず)の神といってネットワークの発達した世界です。子供の頃よく遊んだ八幡さま、鬼ごっこをしたお稲荷さんなどを思い出してください。あなたの感謝の気持ちを届けてくれます。
皆さんのお散歩コースに神社が入ってる方は案外と多いようです。しばし休憩を兼ねて神気浴をされ、ご先祖さまへの感謝の言葉も忘れずに添えてください。それでご先祖とのコンタクトは充分です。
普段、近くにお寺さんがあっても、自分の家のお墓がなければ行くことはまずないと思います。分家初代の方は、身内に亡くなる方がなければ、若いうちからお墓を持つことは考えないでしょう。近くに名刹と言われるお寺さんがあり、よく散歩される以外は観光地で訪れることぐらいでしょうか。後は帰省時に墓参り、お彼岸でも近くになければ足は遠のくばかりです。
最近は、氏神さまを通して亡くなった方をお祀りする方が増えています。葬儀です。神式による葬儀を神葬祭といいます。宗派がありませんからお寺さんを決めなくてもいいし、霊園は何処でも結構です。葬儀の手順は仏式とまったく同じです。祭式は神社で神主さんからお祓いを受けた時と同じです。亡くなられた方は神様になられるのですから生前の身分に関係なく、生前のお名前に男性は大人命(うしのみこと)、女性は刃自命(とじのみこと)をつけますので、戒名は必要なく、お名前がよくわかります。位牌は霊璽(れいじ)、仏壇が箱型の神棚=御霊舎(みたまや)です。
お近くの神社へ行きますと「しおり」が置いてあります。覗いてみるのもいいかと思います。必ずお役に立つ情報があるはずです。