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ラーメンと僕


ラーメンが暴いた西願の出自


以前、ある女の子から言われた。
「へええ。あなたもラーメン、食べるんだ。」
大のラーメン好きの彼女は、嬉しそうだった。
実際、僕は彼女と共通の話題が欲しかったので、お付き合いしていた頃は出張に出るたびに、その地方特有のラーメンを食した。

同じセリフを、いまは廃校になった短大の女子学生から言われたこともある。
「先生、お昼ご飯、なに食べたの?」
「今日はラーメンだよ。」
「へええ。意外!西願先生もラーメン、食べるんだ。」

よっぽどラーメンと僕との組み合わせは、アンバランスに思われるみたいだ。
たしかに「とても好き」というわけではない。
でも二ヵ月に一度ぐらいはふつうに頂く。
「ふつうに好き」なのだろう。
たしかに日本蕎麦とラーメンを比べられたら、日本蕎麦のほうが好きだ。
ちなみにお豆腐は「とてもとてもとても大大大好き」なので(特に近所のお豆腐屋さんの「にがり絹豆腐」が好きなので)、週に一度は頂く。

それにしても何故これほどまでにラーメンと僕というカップルは、不釣り合いなのだろう。
謎が解けたのは、ある同僚の女先生のひとことだった。
西願さんは生まれ育ちが良すぎるのよ」。

なるほどね。
だから僕と、庶民階級の表象でもあるラーメンは、ミスマッチというわけか。


「生まれ育ちの良さ」の使い道


たしかに「虫も殺さないお顔立ち」と、よく言われる。
(ちょっと盛っているかな。)
ゆったりと鷹揚な立ち居振る舞い。
(ちょっと自己補正、効いているかな。)
すべてを肯定するような、気品ある微笑。
(やっぱり自意識過剰かな。)

以前、マンションの管理組合の委員長をやっていたときは、「何も言わないで、黙って、委員長席にデンと座っていてくれればいいから」と、組合の参謀役の女性から言われた。
実際、学生の頃からしばしば何かしらかの「委員長」に選出された。
おそらく僕を選出したひとたちは、僕が黙ってニコニコ座っているのを期待していたのだろう。

しかしそんな西願が、おとなしく黙っていないで、大きな声でハキハキズケズケと正義の言葉を発するとどうなるか。
卑屈な権威主義者の嫉妬と憎悪を一身に浴びることになる。

というのも西願は世俗の権威にペコペコしない。
「みんなでいっしょになかよしこよし」を必ずしも常に大事にしない。
それは何故か。
おそらく「生まれながらの何か」が僕にはあるのだろう。

実際、占い師から「あなたのなかにはスサノオがいる」と言われたことがある。
たしかにスサノオも貴子ではある、が。。。

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