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『カスバの女』!
日本歌謡アカデミーに毎月一回連載をしている『巷のメロディー』。
わが『司会体験』か『鑑賞』を原則としているが、司会なし、コンサートもなし。書くための『題材』もなし。
そこで自分の中で一度は書いてみたかった『曲』『歌手』『作詞・作曲家』について書いてみることにした。
例えば『男のブルース』の三船浩さん。
『浜辺の歌』のこと。
今回は『カスバの女』の『エト邦枝』さんにした。
この曲昭和30年の楽曲。
作詞大高ひさお
作曲久我山明
歌唱エト邦枝
『カスバ』とはアラビア語。『城砦のある街』のこと。
歌詞の中には『アルジェリア・チェニス・モロッコ・セーヌ・シャンジェリゼ・外人部隊』などとても当時の日本の歌謡曲とは思えぬ『異質』な曲だ。
その頃は三橋美智也さん・春日八郎さんの全盛時代。『異国情緒』とはいえ
まるで『異邦』の世界の歌であった。
しかし歌の世界は『酒場の女の物語』、解釈は難しくはない。
この楽曲は『曲先』で、作曲家の久我山さんが作詞家の大高さんに持ち込んだのだという。
大高さんは当時のフランス映画・ジャンギャバン主演作『望郷』を下敷きにこの詩を書いたという。
『涙じゃないのよ浮気な雨が
ちょっぴりこの頬濡らしただけよ・・・』
それゆえ『アルジェリア・チェニス・モロッコ』が登場したわけだ。
もっとも大高ひさおさんは一度も『アルジェリア』を訪れたことはないそうだ。
大高さんは小樽出身。その後『銀座の恋の物語』など石原裕次郎作品を手がけた。
久我山さんは韓国人で、日本・韓国・アメリカ・で活躍された元々はアコーディオン奏者。裕次郎さんのデビュー曲『狂った果実』の編曲も担当された。
そして歌手『エト・邦枝』さん。浅草出身の正真正銘の日本人。
本名『笠松エト』さん。
『エト』は本名なのだ。
この楽曲元は映画『深夜の女』の主題歌だったそうだが、映画製作が中止。
レコードも1778枚しか売れなかったそうだ。
彼女はそれで『歌手引退』したのだがその後昭和40年代以後
緑川マコ・竹腰博子・沢たまき・扇ひろこ・藤圭子さんらが歌唱しヒット。
エト邦枝さんもNHK
『思い出のメロデイー』や『懐メロ番組』に出演した。
三人ともすでに『奇跡の人』ご冥福祈る!
一ページ『日本歌謡史』を括ると思いがけず『新鮮』な情報に触れることができる。