『古武士』が逝去されたという!
私が勝手に命名した『古武士』。
名も知らぬ。
住まいはおおよその見当がついていた。
小柄だが常に『威風堂々』の歩きっぷり。さながら『老剣客』の如し。
すれ違うたびに当方『威を正す』ようであった。
アパートに一人暮らし。
近所に息子さん夫婦と孫が住んでいるということだったが詳しいことは知らずじまい。
今年になってからその姿を垣間見ることもなかった。
息子さんと同居か施設に入られたかあるいは入院かなどあれこれ勝手に想像していた。
朝夕2回必ず私の家の前を通って近くのスーパーに買い物にいかれていた。
今日はどうか明日はどうかと思っていた。
昨日近所の知り合いの方から『あの方はいつだったかアパートで亡くなったらしい』と教えられた。
残念。
最後にお見かけしたのは近所のスーパーの店内で買い物する姿であった。
『何を買っている』のやら興味を持ったが側で『確認するのも失礼か』と
離れた。
あれが最後だった。
結局名前を知らぬ間に他界されてしまった。
96歳の生涯だったという。
最後まで『かくしゃく』とされながら『古武士』のように生きておられた。
私にとってもある目標であった。
『名も知らぬ』まま逝った『古武士』のご冥福心から
『祈りあげる』次第なり。