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「全編ショー」は圧が強すぎる~やっぱり超!スぺクタキュラーだった雪組ODESSEY

雪組ODESSEY、半年の空白を経て梅田にて出航そして全公演完遂!まずはおめでとうございます!

延期公演は梅芸のみで関東住まいには遠征しかない、しかし筆者が崇拝する野口幸作大先生の全編通しショーということで行かない選択は無かった。

で、行ってみれば大劇・別箱含めて今年最高のショーだった。
もうね、芝居よりショーが好きでヅカオタ続けてきた身としてもツボが多すぎて、

・久々にやりたい放題の野口ショー
・モンパリ以来のレビューのエッセンスをテーマに採用
・大劇場でなくでも圧倒させる雪組の層の厚さ

と、見どころ多すぎたし、3階席でも大劇東宝より距離も近く感じて文句なし。
そら君やあやなちゃんが出る予定だった東京国際フォーラム公演はお蔵入りになって、どんな演出だったかは知る由もない。なので、あくまでこの梅芸公演についてだけ書きます。

一応きわちゃんとあーさが古代ギリシャの神に扮するから、もう少し荘厳なショーになるかと予想してたら、そうでもなく。
きわちゃんセレネ・あーさアポロン・美穂さんティティスらのプロローグを経て
海賊船風の船のセットで咲ちゃんブルームが独唱し、Fly With Meでは無かったトップの宙吊り演出も船の縄梯子イメージでやってのけ、
SUPER VOYAGERやBeautiful Gardenで観たスペクタキュラーな野口ショーの本プロローグがスタート!

宙組のデリシューがオールド回帰風のショーで、歌詞に芸名入れるテクニックも使ってなかったのだが、
オデッセイでまたやってきよりました!

かせきょー君&ひまりちゃん、眞ノ宮るい君、あがちん、あーさ、きわちゃんと歌い継いでいく訳でありますが、
7期も後輩の男役とカップルになっても違和感ない野々花ひまりの娘役力。

研3であんなに抜擢されて、スターです!ってきらきらしてるかせきょー君も凄いが、
彼と組んで新公主演前後のキャピキャピ若手コンビですが何か?感を出せる彼女の娘役力もすんごい。
NYではコケティッシュなバーの女になるし、カルメンのシーンではお淑やかなミカエラと変幻自在ぶりはこの公演の優秀選手賞を差し上げたい。

しかし眞ノ宮君の芸名はどうやって入れたんや?と後で歌詞を見てみて「狂いそうだよ」のるいとは…(笑)

どっせいオデッセイは語感からソーラン宙組っぽい先入観もあったが、曲調が何というか、男性声優ライブッぽいんですな。野口クンよもしかしてジャニーズやLDHの他にそっちの方も知ってたりしますか?

ここからNY→中国→スペイン→イスラーム→南極→地中海と世界各地をショーで航海していくわけで、このコンセプトが、宝塚初の洋物レビューとして歴史に残るモン・パリ(日本とフランス、それに間の各地の文物を旅行記仕立てでテーマに描いた)をなぞっている。梅田にいながらにて世界旅行気分になれるのだ。レビューの語源―振り返る・回顧するにも合っている。

梅芸公演で大劇場の半分の規模、それで全編ショーなので下級生までほぼ出ずっぱり状態、場面の転換も早替わり時間の確保ためか間がけっこう長い。

という訳で、大劇では見落としがちな路線外の実力派ジェンヌにも見せ場がたっぷりございます。
特に娘役!杏野このみ・希良々うみの美しきダンサー2人がとにかく目立つし、白峰ゆり・花束ゆめ・沙羅アンナ・有栖妃華らも存在感を発揮。NYから中国への転換で、幕前で踊る白峰・沙羅のチャイナドレスのボブカットの美女2人に目線釘付けになってしまったのはいい思い出(星加くん日和くん済まぬ)。

で、その中国の場面、漢服で踊るあーさの相手役で突然出てきた美女、誰だ?と思ったら眞ノ宮くん。次のスペインで筋骨逞しいカルメンに扮したのはあがちん、さらにアラビアで囚われの王妃になっていたのはかせきょーくん、2幕でもソロを歌うゴージャスな美女は久城あす氏...という女装盛りだくさん。
メイクはさておきたおやかに娘役力を発揮していたまのくん、ホセに刺されても死ななそうなあがちん(超清楚なひまりミカエラとの正反対っぷりがいいわ)、初々しさが残るかせきょーくん、ドラァグクイーン的華やかさを放つあす君、と三者三様でした。

アラビアの場面は、咲ちゃんのブルームとかせ君王妃が恋に落ち、そこに賊が現れて逃げようとする2人と戦うという「ショーあるある」な筋書きなり。ベタなショーだとこれで咲ちゃんと透真氏のバトルの間にかせきょー君が咲ちゃんをかばって斬られて死ぬんだが…このショーのシナリオはちょっと違った。や、王妃が死ぬのは一緒なんですけど。

南極海でNY以来にきわちゃんのセレネが現れ、幻想的な斉藤恒芳さんのナンバーとともにセレネとブルームのダンスになる。あれだけ女装やなんやでサービスしつつも、オデッセイの公演テーマはこうして一貫させてくる。

南極海から地中海に場面は移り、ロシュフォールの恋人たちの主題歌にのせた群舞で1幕が終わる。SUPER VOYAGER!の海の見える街での群舞を思わせ、地中海→フランス→ロシュフォールというつながりだろう。でもロシュフォールって地中海側じゃなく太平洋側、ボルドーあたりの街らしい。

2幕はイタリア・ウィーン・日本・パリ・宝塚と巡っていく。1幕に比べると独自の野口カラーは薄めで、宝塚の定番ショーというトーンである。前半でドーン!と独自色を出し、後半はヅカの定番レビュー、という構成はFly With Meとも似てますかな。で、2幕ですが

全体的にすごくTCAスペシャルっぽい構成。

(※タカラヅカスペシャルになっても未だにTCAって言いたくなっちゃう)
衣装は奇をてらわず、聞き覚えのあるポップスを歌い継いでいくのがTCAっぽいなと。
いきなりポラーレbyジプシー・キングスにのせての羽根背負った咲ちゃんのダルマ! これ、1990年TMPの剣さんと大浦さんのダルマを連想した。
咲ちゃんのおみ足開陳というファンサービスは言わずもがなとして、男役を侍らせトップ自らゴージャスに女役に扮するところはさながらパリの本家レビューのよう。咲ちゃんに負けじときわちゃんも総スパンのダルマに。てかきわちゃん、過去2作の大劇ショーよりもオデッセイの方がよほど派手な衣装着る機会が多いのでは?

希良々・有栖・音彩・白綺の美声カルテットにいざなわれてイタリアからウィーンに行けば、こちらは夢々しい軍服の男役とパステルドレスの娘役による場面に。スターブーツの咲ちゃんが踊れば、きわちゃんも豪華なドレスでデュエットへ。彼女のメイクとかカツラのセンスとか、娘役力の高さはこの舞台でも光っている。
きわちゃん、これが実質最後のショーになる訳で、何だかんだで彼女の娘役スター力も発揮できるいいステージになったと思います。

お祭りマンボは美穂さんがフルで3番まで歌い上げてくれます。コミカルな透真かずき氏のおじさん、そして浴衣姿がひたすら艶っぽい杏野このみ様のおばさんが魅せてくれれば若手男役による雪祭男子が登場。ここもボーイズグループといっても声優系やインディーズ系の印象が…詰襟の衣装とかベタにメンバーカラーを衣装にあしらってくるところとか。
ブラジルはラ・エスメラルダ!の衣装で開幕。久城あす氏のゴージャスな美女、リオの本編が始まってからもしっかり娘役に混じっていた。あがちんの褐色メイクがこのシーンはよく似合うわ。

オデッセイ号の航海もそろそろ終盤、パリで咲ちゃん映画スターのジェラール・フィリップを主人公とする場面になるが…ここ、

Apasionado!のヴァレンチノと全く同じ構成やんか。


初演の月組Aasionado!!であさこ(瀬奈じゅん)がルドルフ・ヴァレンチノに扮して演じた場面と構成全く一緒。ストーリーテラーがいて(城咲あい/縣)、色んな映画の役に扮して、太く短い生涯を終える...
初演のアパショはもう14年も前で知らない観客も少なくないと思われるけど、作る側は当然意識してやってるはずだ。パクリとかでなく、咲ちゃんの長身で骨太で、いろんなコスチュームが似合う男役像は瀬奈氏とも重なる部分もあるし、確かにいろんな扮装をさせてみたくもなる。

フィナーレ的なGOLD WIND(TAKARAZUKA)の場面は黒燕尾・シルクハット・ケーン(この3点セットも野口ショーの定番!)で男役たちが宝塚メドレーを歌い継いでいく。美穂さんの宝塚我が心の故郷に始まり、ハロー!タカラヅカ、レインボー宝塚、タカラヅカ・カルナヴァル…等々の愛唱歌メドレーも1992年か93年だかのTMPの演出を思わせる。咲ちゃんの燕尾が左肩と袖に飾りがついててオシャレ。そしてデュエットはあーさがカゲソロで華を添える。
ウィーンの場面でも咲ちゃん・きわちゃんのデュエットにあーさのソロという組み合わせだったと思うけど、あーさ、歌唱でもここまで信頼されるようになったんだ…。
まさか大羽根で出てきたりして?とも妄想した最後のパレードとカーテンコールはプロローグ同様の海賊衣装に、全員フラッグを持って。主題歌に例の振り付けで、客席照明もついてこのご時世でも最後まで明るく楽しめるステージだった(前週に乃木坂の全国ツアー広島公演行ってきたせいもありスタンディングで振りコピしたくてたまらない)。

【余談】美穂圭子様と役替わりをやってのけた音彩唯!?


えー、観劇したのは日程後半、美穂さんがティティスをやっていた回だったんですが、
この役を音彩唯ちゃんがやってたの!?幕が開いたら娘トップと2番手従えてセンターで歌ったりお祭りマンボ歌っちゃったりトップコンビの脇で独唱しちゃうようなお役ですよ!?予備知識全く無しでパンフ見て初めて知ったので役の大きさにびっくり。

かせきょー君といい、すげえなあ、雪組の下級生…首席「乱獲」の甲斐もある訳だ。B日程での彼女もウィーンのところでソロ貰っていたし、有栖妃華ちゃん・花束ゆめちゃんという歌ウマも擁しながら彼女たちの歌唱力を活かしきれていない感するある層の厚さ恐るべし。

大劇場の50分のショーだと時間も限られ、プロローグ→中詰め、ラインダンス、大階段みたいな制約もあったり、スターシステムの中でスキルがあるのに埋没してしまう組子もいたり...
そういう制約を解除して彼(野口氏)がやりたいことを全部やったらどうなるかを実践したのがLDHとタッグを組んだFly with MeでありこのODESSEY。FWMでは大胆にLDH流のスペクタキュラーさを取り入れ、ODESSEYでは大劇ショーで培ってきた野口流の演出術と過去の宝塚レビューの名場面を彼なりにリファイン。そんな印象でした。

最近珍しくなくなってきた、外箱での全編ショーのみの公演。礼くん主演で大介演出の「VERDAD!」@舞浜アンフィも、柚カレーくんのDANCE OLYMPIA@東京国際フォーラム(こちらは稲葉センセ)も、トップの持ち味を生かしたエネルギッシュなステージだったそうだけど、このODESSEYはそれらよりは組全体のパワーで楽しませてくれたと思います。


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