晴牧アヤ
これまで僕が書いた短編小説をまとめたものです。 気になるものがあったら、ぜひどうぞ。
同居人の月が死んだ。 キッチンで倒れてるのを見て、最初は嘘だと信じたかった。けれど、生きてるとは思えないほどの体温を感じて、脈も鼓動もない体を見て、虚ろな目をした同居人の死を認めざるを得なかった。通報することも忘れて、亡骸を抱いて気付けば涙が流れていた。 だから、いつの間にか家に入り込んでいた猫に気付きすらしなかった。 ≪≫ 又木月は、私こと菊花七恵と共に、大学を卒業してからシェアハウスして二人で過ごしていた友人だった。ふわふわしてどこか抜けているところがあり、そ
はじめに こんにちは、僕です。 今回は、以前投稿した短編小説『逆夢』の裏話みたいなものをお話したいと思ってます。本編は短めなので、まだ読んでない方はそちらを先に読んでくれると嬉しいです。 ちなみにこの裏話が蛇足な気がするんだけど、どうなんだろうね。とかいうこの文も蛇足な気がする。蛇足が蛇足を呼んでいる。 制作経緯 では、早速本題に。 経緯、なんてカッコつけてますけど、要はこれを書こうとしたきっかけです。 この作品は、実体験を元に書いていたりします。設定などは完全
「ねぇ、君、そこ危ないですよ!!」 その声で、目が覚めた。 私は何故か踏切の真ん中に立っていた。辺りは真っ暗。周りにはその声をかけてくれた人と、あと猫ぐらいしかおらず、しんと静まり返っている。幸い電車はまだ来てないようだけど、私はどうやらそんなところで呆けていたらしい。 とりあえずここにいるのも危ないので、声が聞こえた方に向かう。声をかけてくれたのは小柄な女の子で、少々幼い雰囲気があった。栗色の髪は短く切り揃えられていて、やはり可愛らしい。けれど何処かの制服を着てい
「お花見をしよう!」 私の隣を歩く友人、梅朱ルアが唐突に叫ぶ。相変わらず突拍子もない提案をする彼女だが、一応続きを聞いてみる。 「で、なんで急に?」 「だって、桜が満開なの見ちゃったから!」 「ああ、まあ確かに咲いてるな……」 3月の終わり。一年を締め括って、また新たな一年が始まろうという頃。それを出迎えるように、桜も咲く頃だ。 しかし私、桜葉マキは花見をする気にはなっていなかった。それは彼女ほど無邪気でなかった、というのもあるが――。 「でもさ今、夜なんだよ。
いつだったか、私は夢を見た。死んだ親友が目の前に現れる夢だ。 まあ、もうまともに覚えてはいないのだけど。 彼女が亡くなったのは、高校二年の秋だった。彼女は元々体が弱く、私はいつも彼女の隣にいて、支えていた。だからこそ彼女がいなくなった後は随分塞ぎ込んでいて、しばらく不登校になっていた程だ。 彼女が再び現れたのは、その年の冬のこと。その夢の中で、未だに朝日が昇っても起きる余裕が無かった私は、布団の中に閉じ籠っていた。あの子がいない世界なんて、とか考えていると、インター
初めまして、晴牧アヤです。よく見るnoteというやつを初めてみました。 1話限りの短編小説を不定期で投稿していくつもりです。長さはまちまちですが、目安では長くて一万字前後程度のものになります。 作品ジャンルについては、主に百合、ガールズラブを書いていきます。単にラブラブしたものだけでなく、暗めの雰囲気だったり友情的な百合だったり、色んなものを書いていけたらな、と思ってます。 まあ要は、書きたいものだけを書いていくだけです。 あとは、自分の作品の設定だとかを蛇足に