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「性別欄」は「生物学的性別」が必要

要望書

内閣府・政府の各種統計調査における
     「性別欄」のあり方を検討するワーキンググループ御中                  

  私たちは「生物学的女性の権利を守る会」といいます。「女性であるということは『自認』ではなく生物学的現実である」という立場から「性自認至上主義」の思想の危険性を訴え、この思想によって生物学的女性の権利が侵害されることに反対する女性たちの集まりです。
 この度設置された貴ワーキンググループに私たちの意見を聞いて頂きたく要望書を提出します。 

1,はじめに

この1~2年の間に「性別欄」を廃止する様々な動きがありました。それについてコメントすることによって、私たちの考えを知って頂きたいと考えます。
①  46道府県の教育委員会が、公立高校における入学願書の「性別欄」を廃止したことについて―
 公立高校の入試判定は、入試と内申書で決まります。内申書には「性別欄」があるのですから、入学願書の「性別欄」は廃止しても構わないという見解があるのかもしれません。しかし、入試会場のことを考慮したら「試験の最中で体調を崩す場合」に入学願書の「性別欄」は重要です。保健の教員や医療機関につなぐ場合に、性別は重要な情報だから復活して欲しいと思います。
②  47都道府県の選管が、候補者の性別を公報に記載することを廃止したことについて―
 候補者の性別は、有権者が投票行動をする際の重要なデータです。また、クオーター制・パリテを実現する立場からも性別欄は必要ですから廃止に反対です、復活して欲しいと思います。
③  北海道議会が道立病院の問診票の廃止を決めたことについて―
 2021年3月9日に北海道議会で問診票「性別欄」の廃止が採決されました。しかし、性別欄は必要との意見があったことから、この提案をした民主道民連合のふちがみ綾子議員は、次のように2021年4月5日の活動報告に書いています。「『性的マイノリティの方には、医療側の誤解や偏見、認識不足により医療機関の受診をためらわれる方がいる』との認識が示されています。性別情報は必要なのでは?という意見もありますが、3月12日放送のAbemaヒルズの中で保険証やカルテで確認できるので支障はないとの道立病院の見解が示されています。」
 医療機関を受診する際、必ず男女別を記載した保険証の提出が求められます。初診の場合には問診票を記入します。保険証に明記されているのに、何のために問診票の性別欄を廃止したのでしょうか?今後は性的マイノリティの方が受診しやすいように保険証の性別欄も廃止するのでしょうか?

 生物学的性別、つまり男性(オス)は小さな配偶子(精子)を生成する性(SEX)であり、女性(メス)は大きな配偶子(卵子)を生成する性(SEX)であり、精子・卵子の二つの配偶子で生殖をおこなうという哺乳類や人類の生殖システムを無視することは出来ません。「性は多様」とか「性はスペクトラム」と主張される人は、ご自分が誰の胎内で成長し産まれたのかの事実をお忘れなのでしょうか?生物学的性別は男女だけですし、その性別は人体の構成にも貫かれています。

「人体のあらゆる細胞組織や臓器には性差があるとともに、人間の疾病の『罹患率、経過、重篤度』にも性差がある」「身長によって標準化した場合でも、肺活量には性差が存在する」「自己免疫疾患は女性の方が多く、罹患者の80%を占める。それは女性が子どもを産む性であることと関係している。胎児の成長と新生児を守るために、免疫反応が強力に発達したからである。」

キャロライン・クリアドス著「存在しない女たち」河出書房

 つまり医療を提供する側にとって、生物学的性別は重要な情報なのです。このことは医師や看護職などの現場の方にとって自明の事実です。生物学的性別ではなく、自己申告による「性別」=自認による性別を重視した国では、「性自認が男性=生物学的女性」が子宮癌検診を受けられなかったという問題も生じています。(ロンドンにあるタビストック・ジェンダークリニックのアリソン・バーナー博士によると、2019年、子宮癌検診の対象となる「トランス男性」のうち40%が検診を受けたことがないと回答)

https://www.bbc.com/news/health-56942480?xtor=AL-72-%5Bpartner%5D-%5Bbbc.news.twitter%5D-%5Bheadline%5D-%5Bnews%5D-%5Bbizdev%5D-%5Bisapi%5D&at_custom1=%5Bpost+type%5D&at_medium=custom7&at_campaign=64&at_custom3=%40BBCWorld&at_custom2=twitter&at_custom4=9D6F872E-B69E-11EB-AD0E-D49E4744363C 

2,私たちの見解

①  昨今、生物学的性別を軽視、無視する論調が目立ちます。例えば、関東弁護士会連合会は「性別違和・性別不合があっても安心して暮らせる社会をつくるための宣言」において「性別違和「『出生時に割り当てられた性別に対し強い違和感を抱く人たち(トランスジェンダー)』が少なからずいる。(中略)どのような性自認のあり方であっても等しく個人として尊重されるべき」と提言しています。また、埼玉県自民党県議団による「性の多様性への理解を深めるための条例案」によると「性のあり方は男女という二つの枠組みではなく連続的かつ多様」と定義しています。
 関東弁護士会連合会のいう「出生時に割り当てられた性別に対し強い違和感を抱く人たち」とは誰のことでしょうか?すでに我が国には「性同一性障害特例法」が存在し「身体の性別に違和感があり、自己を身体的および社会的に他の性別へ適合させようとする者」に対しては「手術要件」を満たせば「法的性別の変更」が認められています。それを踏まえれば、関東弁護士会のいう「違和感」は生物学的性別(SEX)ではなく、社会的性別(Gender)への違和感ではないでしょうか。また、埼玉県自民党県議団による「性のあり方は男女という二つの枠組みではなく連続的かつ多様」という場合の性はSEXでしょうか?Genderでしょうか?日本語で「性」と云った場合SEXでもGenderでも、どちらにも解釈できるのです。「性自認」という用語の曖昧さ、身体違和なのかGender違和なのかが不明であることをまず指摘しておきたいと思います。
②  「『性自認』という用語の曖昧さ」はまだあります。それは「自認する性」が男性・女性に限ることはなく、ノン・バイナリー(男でも女でもない)やジェンダー・フルイド(流動的な性)といった多様な「性自認」があるということです。
  「性自認」を社会システムの運用の根拠にするには、あまりにも安定性を欠くと云わざるを得ません。これまで、社会や法制度は、人の性別とは生物学的性別であるという前提のもとに形成されてきました。もし、社会のルールにするなら、「性自認」の定義を科学的に立証すべきだと考えます。私たちは「性自認」は「信仰の自由」と同じレベルの問題だと考えています。つまり「個人の心の自由」であって、それを他者に押し付け強要してはならないことはいうまでもありません。憲法第13条の「すべての国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」とあるように、「自由権」「幸福追求権」は「公共の福祉に反しない限り」尊重されるものだと考えます。関東弁護士会連合会は「『性自認の権利』は憲法13条の幸福追求権の実現として、最大の保障を受けるべきものである」と主張されていますが、「公共の福祉」との関係に言及されていないのは何故なのでしょうか?
 定義もあいまいで、誤用・濫用される余地のある「性自認」で社会のルールを決めてはならないと考えます。
 また、「生物学的に生命体をオス・メスの二分類に分けることはむずかしい、インターセックス=性分化疾患のようなオス・メスの二分類では対応できない人もいる」(日本学術会議第一部会員・伊藤公雄「変容するGender概念」・学術の動向2018、12)という見解もあります。しかし、これは間違いです。性分化疾患=DSDsの人は「中間の性」や「第三の性」ではなく、身体の性別は男女二つしかないと考えています。そして「身体の性はグラデーションである」という説を教育や啓発活動の場で教えることは、DSDsの人に対する人権侵害であると訴えています。https://shoutout.wix.com/so/99NaocLvb?s=09#/main 
 先に、医療の問題を指摘したように、社会ルールは「生物学的性別」「男女別」でなければ安定性を損ない、「当事者」や「社会」に不利益をもたす場合もあるのです。「『性的マイノリティ』の方が受診をためらう」という課題は、「社会的規範=ジェンダー」による「男らしさ」「女らしさ」を解消することによって解決されるのではないでしょうか?「スカートを履き化粧する男性」がいてもいいのです。それは「男性の中の多様性」なのです。そういう方向にシフトして政策を考えて頂きたいと思います。

3,政府の各種統計における「性別欄」について

 あらゆる政策はきちんとした調査による統計を基に立てられなければなりません。「『性自認』に基づく調査・統計になればく『人生の途中で女性を自認し始めた身体男性』も女性として数えるようになるため、正確な統計が取れなくなります。『人生の途中で女性を自認し始めた身体男性』の数は、この数十年で急速に増加していると云われています。『性自認』を法的に認めると、女性の賃金、役職に就く女性の割合、議会に占める女性の割合などの統計に影響を与えます。
 特に強調しておきたいのは、性犯罪に関する統計です。2021年に検挙された性犯罪の加害者の99,45%は男性で、0,55%は女性です。同年の被害者の95,94%は女性で、4,06%は男性です。
 「性自認」による統計を取っている英国(2020年英国政府の調査)では、刑務所に収監されている犯罪者のうち、性犯罪者が占める割合は、トランス女性:76%、女性:3,3%、男性:16,8%となっています。「トランス女性」も女性にカウントすると、性犯罪者は女性が圧倒的多数になってしまうのです。性犯罪に関する政策を考える上で、実態を反映した調査・統計は不可欠なのです。
 このように、実際には女性への暴力・女性差別の実態は全く変わらないのに、表向きは男女平等が向上したように見せることができ、パリテを達成することも可能になってしまいます。ジェンダーギャップ指数が、表向きには減少したように見えることを望むのでないかぎり、政府の各種統計における「性別欄」は従来どおり「男女別」のままを堅持するよう要望します。       

                                                       2022年6月25日 生物学的女性の権利を守る会 共同代表 
大坂泉 北原ちよ 栗原洋子 前田まき 

  連絡先 makibaka1225@gmail.com

 

 

 

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