十月桜 朧気 /青紗蘭 回想
十月桜は、二季咲きでおおよそ春と秋に咲くと言われている。
私は、未だに掬えなかったあの人を気にしているのかも知れない。好きや愛とは、別に。
あのとき、こうしていれば。
あのとき、慎重にしていたなら。
自身を責める言葉で覆い尽くした。
私に、罪があるなら罰を与えて欲しかった。
現実を見るより罪に罰に逃避した方が楽だったからかも知れない。なんと浅ましい。
だが、掬えなかった彼は、変わらず何年たっても言うのだろう。
「幸せになってね」
「笑顔でいてね」
ああ…桜がまた咲き、また舞うか。
私が自身を赦せるまで、彼は繰り返し
呼びかけるのだろう。
春にも秋にも。
咲きながら散りながら舞いながら
彼は幾度でも私に呼びかけるのだろう。
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