【白秋の何時かの話/🌰絵 かよん 🍎散らかる話 青紗蘭】
にゃんこのめめは~闇夜を照らす🎶
にゃんこのみみは~聞き上手🎶
どこからか、歌が聞こえる。
白秋の現世。
逢魔が時の神隠し。
あるのかないのかどうなのか。
試してみるかい?
ほ~ら次元の狭間から誘い水。
踏み入れたなら我らの内側。
二度と戻れぬ道つづき。
「相変わらず、怖い話しと歌だ」
そうことばを話したのは、猫又修行中の猫二匹のうちの1匹ミッケだった。
「そんにゃこと言ってるけど、ぼくたちそこをいつも行き来してるじゃにゃい?」
すこし幼いもう1匹ミッミは、毛繕いをしながら答えた。
「まぁ、そうなんだけどよ」
「じゃあにゃんで怖いとおもったにょ?」
「いや、こないだ100年振りにここの主(ぬし)が幼い娘をさらっちまったじゃないか。だから、そのよ…そいつにしてみりゃ何もわからず怖いかなと」
「……ミッケってやさしいにょね。あれ?……だれか来ちゃったんだっけ?」
「お、おまえは~(調子狂うんだよ)。なんだ、お前しらなかったのか?着物をきたおかっぱの幼子が嫁にするためにさらわれたらしいぜ?」
「そうにゃったの?にゃんで、ここの主は、いきにゃり?そうにゃちゃったにょ?」
「さあね。おれらは……」
ミッケが話し出した途端に何かとぶつかった。ミッミは、ミッケから飛んできた何かを思わずキャッチした。
「な、なにゃ?にゃんかぷにぷにしてるにゃ」
「うわっ!お前!何やってんだ!早く持ってるもの離せ!ここでは、何が起きてもふしぎじゃねー!」
「ミッケ、これ人間じゃにゃい?にゃんかでも小さくてかわいいにゃよ?」
「に、人間!?迷い込んだのかよ?いや、それにしちゃ小さすぎるだろ」
「クンクン……この子にゃんか良い香り。
それにこの子の身に着けてる鈴の音知ってるにゃ。この音は神楽舞のときの鈴の音にゃ」
「んん?んじゃ巫女かよ?それにしちゃあ小さすぎるだろ。大体巫女なら、ここから簡単に抜け出せるしな」
「ん~~~~とにゅ。たぶん、御守りにゃんじゃにゃい?対になってるはずにゃけど、一個しかにゃい」
「だぁーー!俺は訳わかんねーことと、面倒臭いことが嫌いなんだよ。とにかく、人間なんだろ?さっさと送り届けちまおうぜ。それが、今んとこ俺らの試練なんだから」
ミッケとミッミは、迷い込んだものを元の世界に還す任務を授かっていた。授けたのは、猫又の長、銀雷であった。
「銀雷の親分は、仕事サボると容赦ないからささっと還しちまおうぜ」
「にゅにゅにゅ。ミッケは、親分のこと大好きだもんにゅ。期待されているもんにゅ。」
「そんなんじゃねぇ。俺は、ただ早く試練を終わりたいだけだ」
そう言い放ったミッケの二股尻尾は照れている時の仕草丸出しであった。
「ミッケは、素直じゃないにゃあ」
「いいから!こいつを送り届けるぞ。ミッミ頼むぞ。」
「わかったにゃ~とりだしたりましたは~金木犀の咲き枝にゃ~。ずんにゃにゃずんにゃ~あなたのおうちはどこにゅ?」
ミッミの何とも言えない踊りと金木犀の咲枝が光り輝く。
「ミッケに真実の道を見せるにゃ!」
ミッミの踊り終わると同時に、仄かに光る道が顕れた。
「ボクにはちょっとしかみえにゃい……」
「大丈夫だ!俺にはハッキリ見える。踊りはどうかと思うけど…お前はすごいよ。」
「えへへ。ミッケの役に立てたにゅ」
「よし金木犀の咲枝を離すなよ」
金木犀の真実を顕す力は絶大であった。昔から、魔除けのひとつとして使われていた。
「よし、じゃあこのちっこい人間は、俺が風呂敷でもってく。さっ行くぜ」
「わかったにゃ!ずんにゃ~にゃ♪ずんにゃにゃ~♪おっこちゃだめにゃよ」
金木犀の導く真実を
ミッケとミッミは軽快に歩んでいく。
おっかなびっくり
笑って泣いて
七転び八起き
八方塞がりも何のその。
これはあやかし達の何時かの
何処かでのおはなし。