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技術書の企画書をインセプションデッキで作った話
この度「AWSを好きになる本 ゼロから始めるクラウドジャーニー」という本を出版させていただくこととなりました。日付が変わってしまいましたが3/19(金)に無事予約受付を開始できることとなり、3/26(金)に発売開始となる予定です。
今回は出版を記念して、予約開始~発売開始までの7日間毎日この本もしkは本のテーマのAWSについての記事をアップしていこうと思います。
1記事目となる今回の記事では、本の執筆を始めるときにITエンジニアがアプリケーション開発に利用する「インセプションデッキ」というドキュメントの形式で企画書作った話をしていきます。
※書籍については紹介ページを作ったのでよかったら覗いてみてください。
インセプションデッキとは
インセプションデッキ(Inception Deck)とは、そのまま日本語にすると「最初のデッキ(カードの束)」という意味の言葉です。
インセプションデッキは、スピードを重視してアプリやソフトウェアの開発を行うアジャイル形式のプロジェクトで利用されるドキュメントで、プロジェクトに関するルールや取り決めをプロジェクトの初めに定める文書のようなものです。
ITサービスの開発を行う上でのプロジェクトの全体像(目的や背景、方向性など)を端的に伝えるためのドキュメントとして誕生したのがインセプションデッキですが、ITのプロジェクト以外でも普通に利用できると思ったので今回は書籍の執筆プロジェクトにこのインセプションデッキを利用しました。
インセプションデッキの構成
インセプションデッキは以下の10個の質問に対する回答によって構成されます。
1. 我われはなぜここにいるのか(Why1)
2. エレベーターピッチを作る(Why2)
3. パッケージデザインを作る(Why3)
4. やらないことリストを作る(Why4)
5. 「ご近所さん」を探せ(Why5)
6. 解決案を描く(How1)
7. 夜も眠れなくなるような問題は何だろう(How2)
8. 期間を見極める(How3)
9. 何を諦めるのかをはっきりさせる(How4)
10. 何がどれだけ必要なのか(How5)
これらの質問に対する答えを最初に明確にしておくことで、プロジェクトを進めるうえでのメンバー間の意識をぶれないようにすることができます。
実際にITのサービス開発でこのインセプションデッキを利用したことがありますが、スピード重視で開発を行っていると元々考えていたことなどがついなおざりになってしまうのでメンバー間で意識を合わせたり原点に立ち返るという意味で非常に効果がありました。
今回作成したデッキをご紹介
今回の執筆では、大部分の作業を編集さんと2人で行いましたが、この「インセプションデッキ」を最初に作っておいたことで、出版社の担当の方、イラストレーターさんなどとコミュニケーションをとてもスムーズに進めることができました。
尚、先ほどは10個の質問をご紹介しましたが、今回のプロジェクトでは不用と思われる質問がいくつかあったので、実際にはWHYの1~4とHOWの「何を諦めるのかをはっきりさせる」に絞って次のようなデッキを作成しています。
※本当はこのデッキの内容をもう少し解説しようかと思いましたが一旦解説は省きます
これを作るとなると面倒な気もしますが関係者間で作っているものの意識がずれたまま作業を進めると歯車がどんどんとくるっていって結局大きなコストがかかってしまうことにもつながりませんので、このような形で最初に方向性を明らかにしたうえで素早くプロジェクトを立ちあげることは重要だし、実際そうしてよかったなと思います。
終わりに
インセプションデッキはITの開発プロジェクトで利用され始めたものですが、用途を限定せずに割といろんな場面で利用することができるものだと感じています。
プロジェクト管理やプロジェクトの進め方の方法は、IT業界も他の業界の手法から影響を受けていたりするようなので、ほかの業界のお仕事であってもこのインセプションデッキを有効に活用いただけるといいなと思いました。
その一例として、今回は書籍の執筆プロジェクトでの活用例をご紹介させて頂きました。
今回の記事ではインセプションデッキの概要程度の説明になっていますので、より深く知りたい方はネット上などに多くの情報がありますのでそちらをご覧いただければと思います。