最初に「発音」ありき!英語習得の第一歩は「英語の音」を知ることから
「ブリッジSEの英語術」ということで、今回は英語の3大基礎の1つである「発音」について解説していきたいと思います。
全部で約10回の連載となるうちの第3話です。マガジンとして登録したのでこちらから記事の一覧をご確認いただけます。
ということで、英語を学んでいく上でまず初めに身につけてもらいたいのが「発音」です。
なぜならば、最初に発音について学んでおくことそのあとの学習効率が格段に上がるからです。
最初に発音を勉強しておくといい理由
僕が「英語の学習を行う上で最初に発音を学んでおくことが重要」と考える理由は大きく3つあります。
理由1:「英語の音」が分からないとリスニングの力が伸びない
英語を聞き取るのが難しいのはそもそも「英語と日本語の音の違い」に原因があります。
英語の正しい音を知らなければ、知っているはずの単語であっても聴き取ることができません。
英語をうまく聴き取ることができないと音声や動画を使った学習法を十分に活用することができず、結果として英語を学ぶ効率が著しく低下してしまうのです。
理由2:「声に出してみる」学習法の効果が半減する
音読やシャドーイングなど実際に英語を声に出す勉強方法は、英語のリズムを身体に染み込ませるためにとても効果的です。
しかし、英語を正しく発音することができなければこれらの効果は半減してしまいます。
むしろ、一度間違った発音を身につけてしまった場合、あとから正しい発音を覚え直さなければならずとても無駄が多いです。(悪い癖がついてしまうとイチから学ぶよりも返って大変かもしれません)
理由3:発音への理解でより通じやすい英語が喋れるように
ネイティブのような発音を身につけようと思ったら、幼少期に英語に囲まれて育ちでもしない限りとても大変な努力が必要です。
しかし、たとえネイティブのように「キレイ」な発音をすることができなくても、英語の音を理解した上で「正しい」発音をすることができれば、それで十分コミュニケーションを取ることができます。
英語の発音を1つ1つ覚えていくのは面倒に感じるかもしれませんが、聞く時であっても喋る時であってもも「意識して音を区別する」ことで英語の力は大きく伸びていきます。
効率よく英語の力を伸ばしていくためにも、まずは、「英語の音をしっかりと区別して発音できるようになること」を目指して勉強を行なっていきましょう。
それでは実際にどのように発音の学習を行なっていくのがよいか、4つのステップに分けて解説を行なっていきたいと思います。
Step1: まずは英語の音を知ろう!
英語を身につけるのが難しい理由の1つは英語と日本語との音の違いです。
私たちが日本語を話す時は ”あいうえお” から成る「母音」と10数個ある「子音」を組み合わせることで音を出しています。
一方で、英語の場合、まず母音だけで20個、子音を見ても24個も音があり、これはつまり「英語の音の半分以上は日本語には存在しない音によって発音されている」ということになります。
そのため私たち日本人が英語を習得するためには、これの日本語には存在しない音を知らなければいけないわけですが、この音の違いを学ぶための簡単でとても効果的な方法が「フォニックス(Phonix)」です。
フォニックスとは、口の動かし方に注意を向けながら正しいアルファベットの音を発声していく発音の練習方法です。
ネイティブの子どもはこのフォニックスを通して英語の音を身につけているので、私たち日本人が英語を勉強する時でもとても簡単に取り組むことができます。
普通にアルファベットを読み上げていくと「A(エー)」「B(ビー)」「C(シー)」と発音していくと思いますが、フォニックスの特徴は、Aを [ae]、Bを [b]、Cを [k]といったようにを私たちが慣れ親しんでいるアルファベットとは全く違った発音の仕方をすることです。
この [ ] で囲んだ記号が英語の音を表しており、それぞれが日本語には存在しない音なのでカタカナで表現することはできません。( [ ] の中の記号は発音記号と呼ばれるもので詳しくは Step2で取り上げています)
こればっかりは文字で説明するよりも実際に聞いた方が早いと思いますので Youtube の動画を紹介しますね。
まずはこれらの動画を見て、アルファベットのそれぞれの音や発声の仕方を知りましょう。
その際は、自分でも実際に声に出してみて、動画と同じ音を出すように練習してみてください。(発声の仕方については2番目と3番目の動画に詳しく紹介されています)
鏡を見ながら自分の口の動きや舌の位置を確認してみるとさらに効果的です。
また、ここで紹介したもの以外にも、Youtubeで「English Phonix」などと検索すれば様々な動画が公開されていますので色々なものを試してみることをオススメします。
Step2: 発音記号を覚えてさらにワンランクレベルアップ!
フォニックスを学ぶだけでも英語の発音は見違えるほど変わりますが、もうワンランク発音のレベルをアップさせるためには「発音記号」をしっかりと読めるようになることがポイントになります。
発音記号とは、正しい発音を表すための記号です。
豆知識として説明しておくと、英語の発音記号には、初学者にも分かりやすく辞書などでもよく用いられる「Jones式」 と国際音声学会がより正確な分類を定めた「国際発音記号(IPA、International Phonetic Alphabetの略)」があります。
辞書で英単語を調べた時に発音記号が載っているのを見たことがありませんか?
英語の辞書で "apple" と調べれば、その隣には / ˈæpl / と書いてありますがこれが発音記号です。
そして、日本語で発音する場合は「アップル」と言うのも攻撃するなどの意味で「アタック」と言うのも同じ「ア」の音ですが、" apple " の「ア」の音が / æ / なのに対して、" attack " の「ア」の音は / ə / です。
「発音記号が違う=それらの音は違う音」ということになりますので、発音記号を覚えておくことで英語の1つ1つの音をきちんと識別することができるようになります。
また、発音記号を正しく読むことができると、どう読めばいいのか分からない単語が出てきたときにも発音記号に従って発声することで正しい発音をすることができます。
Step3:発音記号はこうすれば覚えられる
発音記号について難しそうなイメージを持たれたかもしれませんが、1回覚えてしまえば大したものではないということが分かります。
それほど難しくありませんので、1度時間を作って集中して覚えてしまいましょう。
それでは発音記号の具体的な学習方法について、Webで学習を行う場合と書籍で学習を行う場合の方法をいくつかご紹介しておきます。
Webサイトで学習する場合
こちらのサイトではBBCのYouTube動画を紹介しながら、すべての母音、子音の発音の仕方やコツをとても丁寧にまとめています。
順番にページを見ていけば、3時間かからずに1通りの学習が終わる作りになっていてまさに短期集中にぴったりのサイトです。
こちらのサイトは、甲南大学の国際言語文化センターのサイトで、第2部と第3部で子音と母音の発音の仕方が動画付きで詳しく紹介されています。
また、詳しくはリスニング編でご紹介する内容ですが、第1部では「文中での英語の音声変化」についても学習できます。
書籍で学習する場合
私自身は大学時代に英語音声学の授業を受講し、授業内で利用されたテキスト(残念ながら手元にないため紹介できないのですが・・)やプリントを利用して発音記号について学びました。
Webではなく本で学習を行いたい方もいるかと思いますのでネット上で良さそうなものを探してみました。
口元のアップの映像があるなど付属のDVDがとてもよくできているようで、舌の使い方や口の開き方まで詳しく解説されているようです。
あくまで私自身は購入していないため内容については保証しかねるのですが・・
Step4:アクセントまで身につけられればパーフェクト!
音の違いの他にもう1つある日本語と英語の大きな違いは「音にとても強弱がある」ということです。
実際に自分が英語を話す時の発音を向上させたいと思ったら絶対に避けて通れないのがこの音の強弱になります。
日本語の場合、音がとてもフラットで抑揚がないのが通常ですが英語の場合はそうではありません。単語の一部、あるいは1つ文の中に波のように強い部分と弱い部分が置かれます。
日本人はどうしても日本語と同じように抑揚のないフラットな英語を話してしまいがちですが、英語を喋る場合にはしっかりと強弱のアクセントをつけていくとより自然な英語になるでしょう。
具体的にどうすればいいの?レベル別発音学習法
さて、それではこれまで紹介してきた発音の勉強法をまとめます。
ご自身のレベルや学習に使える時間などを考えて選んでみてください。
レベル1:まずはここからスタート
(i)Youtube の動画でフォニックスをマスターする
まずは動画からアルファベットの音を学んでいきましょう。
1日30分を目安に1週間ほど練習することで一通り身についてきます。
その後は、自分の中での定着度を見て判断しましょう。
1ヶ月くらい経って忘れて来た頃に改めて復習すると効果的です。
レベル2:ワンランク上を目指すために
フォニックスだけでもリスニングの能力や会話時の発音は十分向上しますが、よりしっかり音を区別するためには発音記号を覚えることが有効です。
(i)3hで一通り学習する その1
(ii)3hで一通り学習する その2
(iii) 書籍でじっくり学習する
(iv)単語を調べるときは発音記号も一緒にチェックする癖をつける
まずは1回時間を作って、(i)か(ii)を終わらせてしまいましょう。
どちらのサイトもよくできており、基本的に(i)か(ii)のどちらかを選んでこなせば十分です。(iii)はじっくり取り組みたい人向けでしょうか。
発音記号を学んだ後は、単語を覚えたり意味を調べたりする時など普段から発音記号を意識して学習を行うことが重要です。
そしてその際に知っていると便利なのがオンライン辞書の「アルク」です。
こちらのサイトは各業界の専門用語まで網羅されていて使い方の例も豊富です。僕が知っているオンライン辞書の中ではアルクが一番と思っています。
また、時間が経って忘れてしまった発音記号については、その音をWebやYoutubeを使って振り返るようにしましょう。
レベル3:実践的な環境で英語を使っていく
フォニックスを一通りこなして発音記号を覚えることができれば、あとは実際に英語を口に出しながら発音やアクセントを身体に染み込ませていきましょう。
ここから先は「英語の音を知る」という発音の領域から、その音を知った上で実際に使っていくという意味で「スピーキング」の領域に入っていきますので、より詳しい内容はスピーキングの記事に引き継ぎたいと思います。
また、アメリカ英語やイギリス英語、その他の地域で話される英語の発音の違いなどにも目を向けて学習を行なっていくのも1つも方法です。
終わりに
今回は発音の重要性についてここまで語ってきましたが、なぜ発音の学習が重要なのか少しは伝わりましたでしょうか?
僕が小中高と授業を受けてきた中ではあまり比重が置かれていませんでしたが、発音1つを見るだけでもとてもとても奥が深いです。
と、ここまで書いておいてなんですが、実際に英語をしゃべる時には発音を気にし過ぎないでくださいね。発音を気にしたせいで自信を持って英語を喋れなくなってしまっては本末転倒です。
学ぶ過程では発音を大事にしつつ、いざ英語を使う場面では自信を持って(あるいは開き直って)自分の思っていることを伝えるようにできるといいのではないかと思います。
英語を完璧に発音しなくても、英語を楽しむことは十分に可能です。
その上でよりネイティブのように発音したいと思った時には、是非今回紹介したようなアプローチの仕方を参考にしてみてください。