高校野球指導者を振り返って。そして生徒から教わったこと。
どうもこんにちは。
今日は、少し間が空いてしまいましたが、こちらの記事に引き続き、高校野球部の外部コーチをやっていた頃のエピソードを書いていきます。
1.外部コーチ
今振り返ると、指導者としてあるべき姿があまりにも恥ずかしすぎて、
「ああしておけば良かったのかな…。」
といった、後悔の念しか思い出されません。
当時、外部コーチという立場もあり、監督さん、部長さん、さらには他のコーチの方々との連携の兼ね合いからか、僕の指導自体がとても中途半端だったように感じます。
監督の見えない部分を、僕たちコーチ陣で補って、より円滑に組織を回すことももちろん大切かと思うのですが、それが逆に生徒たちにとってストレスになってしまうことも、あったのかなと。
一方で、僕が指導を通して伝えたいことは全く別のこともあって。
仮にそれを伝えても、それ自体が生徒の結果に還元されないこともザラで。
よく、他の指導者の方々の目、生徒たちの目のどちらを優先すべきなのか、また、自分は何を伝えたいのか、わからなくなったことがありました。
もちろんそんな姿を見せたくないと、虚勢を張って堂々としてはいましたが、それがときに空回りし、感情的になってしまったことは、本当に恥ずかしい思い出です。
特にまだ大学卒業したての頃は、若さとプライドが抜けてないこともあり、生徒のことを認めてあげられず、口先ばかりの指導になっていました。
総じて、恥ずかしい思い出ばかりで、本当にダサい指導者だったなと。
2.共に練習した時間
ただ、独立リーグでもう一度野球をやりたいと思うようになったことをきっかけに、一緒に練習をするようになってからは、少しずつ、生徒に寄り添うことができるようになった気もします。
しかし、「生徒の練習時間を奪って自分の練習時間に当てる」ということは、本当にプレッシャーと罪悪感との戦いでした。
「バッティング班に1人増える。」
たったそれだけのように思えることでも、高校生や練習参加の中学生とは違い、1人の大人が入るわけです。しかも、コーチが。
一生懸命やっている子からしたら、「は?」と思われても仕方ない。
当時は心を鬼にして、「ごめん。」と心で唱え続け、バッティング練習に参加していました。
3.生徒がいたから今がある
そんな思いもあって、絶対に「都合が良い」とだけは思われたくなかった(もしかしたら思われていたかもしれませんが笑)。
「しんどいことも、バカになれば楽しくなる!」
が、当時の口癖で、できるトレーニングにはすべて全力で、大声を出してやっていました。
「最後まで絶対に諦めない。」
という姿を見せたくて、そして伝えたくて、とにかく必死に練習する姿を見せました。
非科学的だろ。と突っ込まれそうですが、当時はそんなことも言ってられず、ただそうするしか道はなかったんです。
だって、生徒たちにどういう顔をしたら良いのか。
ここは理屈で解決できる部分ではなかったわけです。
結果として、トライアウトは合格。2年間の選手生活も送れたわけで、きっとこう考えさせてくれた生徒たちがいなかったら、この結果にはなっていなかったんだろうなと、よく思い返します。
4.最も印象に残った試合。-子どもたちから教わったこと-
そんな外部コーチとしての日々を送る中で、最も印象に残っていることがあります。
高校野球の監督として、最後の指揮をとったBチームの試合です。
私立相手に、初回8点を失いながらも、大逆転勝利を納めた試合。
これは、監督としての腕が鳴ったとかのカッコいい話ではなく、本当に生徒たちが頑張った、持ってる力を最大限に発揮した、最高の試合でした。
実はこの試合の前日の試合でも、初回8失点スタート、そして逆転勝利。なんとも心臓に悪い試合を展開する我が母校の教え子たち。
ピッチャー陣なんしてん。と、ツッコミたくなる気もするところですが、Bチームの生徒のかわいらしいところでもあります。
工業高校らしく、器用貧乏な生徒が多いため、緊張するとガッチガチになりがちな生徒が多いのです。特にBチームなど、うまく自分の心も体もコントロールできない子ほど(笑)。
工業特有のやんちゃっ子気質なくせに、相手より自分たちが下回ると黙り込む。
そのスカした根性を叩き直したく、その最終戦前日の試合では、檄を飛ばしていました。殴る蹴るとかではなく、いつものお調子軍団で野球をやらせるために、とにかく黙るなと。自分を信じなさいと。
と言うのも、その試合は相手も普通の公立校で、明らかに力的にはこちらに部があるのが見てわかったから。その試合に関して、初回8点取られようが、10点取られようが、こいつらなら絶対に逆転する力があると信じていたわけです。控えめに言って、想定内のゲーム内容でした。笑
しかし、最終戦は同じ市内にある私立高校。
Bチームの試合にも関わらず、相手は3、40人も部員がいると言う大所帯。
こればっかりは、簡単には勝てないなと。
先発は新2年生のMくん。当時の段階でもAチームで十分に勝負できる生徒だったのですが、今回は連戦ということもあり、B戦で多めに投げさせる方針でした。
そんな彼が初回8失点。
さすがに焦りました。笑
Mくんも決して悪い印象はなかった。(記憶違いかもしれませんが。笑)
単純に打たれた。
強い。
どうしよ。
元気付けたほうが良いのかな。
昨日みたいに怒鳴り散らかしたほうが良いのかな。
と、ずーっと心の中で考え続けました。
ただ、心に誓っていたことは、最終戦は絶対に檄を飛ばさない。ということ。
前日の試合は、ある意味「気付かせた。」わけで、本来は生徒が「自分たちで気付く。」ことが大切だと思っていたからです。
だから、絶対口は出さないようにしたわけです。
でも、8失点て…。笑
試合中、ベンチ裏でずっと葛藤していました。どんな顔して指揮をとれば良いのか。
わけもわからない状態でしたが、自分が「自分を信じなさい。」と言って、そうしないわけにはいかない。そう思って、とにかく普通でいようと、気持ちを落ち着かせながら、ベンチに立ちました。
しかし、そんなベンチ裏での葛藤とは裏腹に、グランドでは生徒たちが大はしゃぎ。やんちゃっ子全開で、純粋に野球を楽しんでやっている姿がありました。
なんなんこいつら、マジでふざけてる笑笑笑
と、ツッコミを入れたい思いもつかの間、あれよあれよと、大逆転。
誰が打ったとかではなく、全員が打った。
(そりゃそうですよね、初回8失点を逆転したわけですもの。笑)
ここまで書いておいて、何対何かは忘れましたが(笑)、こんな感じで私立相手に大勝利。
間違いなく、こいつらふざけてるとは思いましたが(笑)、この子たちの持つ可能性に魅せられました。
やっぱり、やればできるんだって。
ミーティングで、どんな話をしたかは覚えていません。
ただ、この勝ちは心底讃えました。
そして、「ありがとう。」とも伝えました。
言うのに恥ずかしさと悔しさもありましたが。笑
とにかく、人の持つ可能性って、これだ。と、確信しました。
やれる環境を作れば、人は必ずその人の持つ力を出すことができる。
野球を通して、生徒たちから教わったことでした。
5.彼らに何かを伝えるために
埼玉に帰ってきて、教え子全員に会えたわけではありません。
何をしているか、わからない子もいます。
当時のことをどう思っているか、何を考えているかも、わかりません。
ただ、きっと、何かを感じてくれた子たちもいてくれたようで。
新チーム当初、腐りかけていた子が、最後の大会でなんとかベンチに入った上に、卒業後、美容師を目指しながら、大会で賞をとったり。
A戦よりB戦の方が楽しいと言いながら、若干腐りかけていた1.5軍の子も、僕がいなくなった後、諦めず最後の大会でベンチに入れたり。
最後の私立で投げたMくんは、エースにはなれなかったものの、クラス順位1位の成績をとって、見事大手自動車メーカーに入社。今の僕より立場が上です。笑
きっと、全員が諦めずに目標に向かって突き進んだからこそ、成し遂げたのではないかと思います。
そんな子たちを前に、「教員採用試験を諦めた。」と言うことに関して、自分の信念を曲げた気もして、正直、頭が上がらない思いもあります。
でも前の記事でも書いたように、これまで出会った生徒たちにとっては、「先生」と呼ばれる存在であって、これからもそれは変わりません。
だからこそ、彼らにもっと何かを伝えるために。
僕は僕の道を突き進まなくてはいけないなと、思います。
6.終わりに
改めて振り返ると、教えていた側が、教わり、支えられていたことが多いように思います。
大阪に出発する前に、サプライズでバットやリストバンドなどのプレゼントももらいました。
そのとき、普段涙なんか死んでも見せないのに、泣きそうになってしまって。
ここで泣いたら門出にならんと思い、グッとこらえたことは、今でも後悔していますが、そんな気持ちにさせてくれたのも、子どもたちでした。
結果で恩を返すと言って、決して誇れる結果は残すことができなかったことが本当に心残りではありますが、この子たちのおかげで、埼玉に帰ろうか悩んでも諦めず、最後まで野球生活を送ることができました。
それが、高知での後期シーズン登録メンバー入りに繋がったことは、間違いありません。
後悔ばかりの指導者人生ではありましたが、彼らのおかげで、今の自分がいるようにも思います。青クサい言葉ではありますが。
そのくらい、感謝の気持ちでいっぱいと言うことです。
とは言え、まだまだお互い人生の真っ只中。
これからも大きな壁が立ちはだかるわけで、乗り越えることもたくさんあります。
そんなとき、お互い負けじと、次なるステージへと爆進して行きたいものですね。
長くなりました。
ご精読ありがとうございました。