【テキスト】殿上人とか大学寮とか
こんにちは。紫式部です。
お気づきの方が結構おられると思うんですが、時々ネコの鳴き声とか、犬の足音とかが入っちゃってます。寝てるスキを伺って録音してるんですが、思いがけないタイミングで鳴かれたり歩かれたりするので、謹んでごめんなさい。いつか、犬猫たちメインでお詫び動画アップしますね。
それでは始めます。
大学寮だの六位だの四位だの、また訳が分からない言葉が出てきたので、簡単に説明しておきますね。
まず、位のことですけど、皇族はまず四位という位からスタートするのが普通でした。源氏の君も、臣下とされてますが、れっきとした帝の息子なので、夕霧くんは少なくとも五位からスタートっていうのが、妥当なセンだったんです。
で、四位、五位と、六位ってどう違うのかと言うと、四位や五位なら即「清涼殿(せいりょうでん)」への出入りが許されるんです。清涼殿っていうのは、帝の昼間の休憩室みたいな感じかな。紫宸殿(ししんでん)って所が、公務をする部屋。その横にあるのが清涼殿。
清涼殿に上ることができるから、「殿上人(てんじょうびと)」と呼ばれます。五位以上の人ね。
六位以下だと、清涼殿には出入りできないので、「殿上人」とは呼んでもらえないんです。
で、夕霧くんは源氏の君の息子なので、幼い頃から清涼殿に出入りできてて帝のおつかいなんかをする「殿上童(てんじょうわらわ)」だったんですよ。
でも、元服したら六位スタートだから殿上に上れなくなってしまった。しかも、位によって、着物の色が違ってたので、「あいつ、六位じゃん」って一目でわかっちゃうんです。制服でどこの高校生かわかっちゃう、みたいな。
なんで最初から殿上人にしてやらなかったのかというと、本編に源氏の君の考え方を書いてますけど、「苦労して勉強して、ここまで昇ってこい」ってことなんですね。
でも、ほったらかしにはしません。かわいいかわいい息子なんですから。自分の邸である二条院に、大学寮の博士や教官を招いて、個別授業してもらいます。夕霧くんは、まじめだし優秀な若者なので、勉強して、ちゃんと出世していきますので、ご安心ください。
大学寮っていうのは、奈良時代ごろからあった、官吏の養成機関なんだけど、源氏物語の時代くらいになると、六位以下は試験を受けて合格しなきゃ入れません。入れても、9年以内に卒業できなかったら退学。このへんは、現代の大学と似てるかもですね。
何を勉強するのかというと、中国の歴史や文学、漢詩文を作ること、儒教の古典、法律、算術などです。
定員は400人で、試験を受けることで、定員20人の「擬文章生(ぎもんじょうしょう)」になることができ、また試験を受けて定員20人の「文章生(もんじょうしょう)」になることができます。修士とか博士とかみたいなシステムですね。
ちなみに、「帚木」の雨の夜に登場して、ニンニク臭い彼女の話をした「藤式部丞」も「私が文章生だったころ」って言ってたので、彼も大学寮のエリートだったんですね。
ワタクシ紫式部は、最近の貴族たちは、家柄に寄りかかりすぎて勉強してないって思ってるんですよ。時間あるんだから、ちゃんと勉強しなさいよ、って。だから、源氏の君に「学問こそが自分の身を守るんだ」って長々としゃべらせちゃったんだけど。
夕霧くんって、マジメでいい若者だと思うわ。源氏の君も、反省はいいから、少し見習えばいいのにね。
なんちゃって。ではまた。紫式部でした。
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