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川口ちゃんの衣装計画#132 詩人のエッセンス

【2024年4月〜7月の自問自答】

今回も、夏の爆買い記録の続き。


私はこの度、"正式に"詩が趣味になった。

正式にというのは、詩にはもうずっと昔から興味があったけど、好きって言えるほどじゃないというか、どうも良し悪しがよくわからなくて、なんなら今だってたくさんは読んでないし詳しいわけじゃないけど、あきやさんが、少しでも好きだったら大好きって声を大にして言っていいんだよって言ってくれたので、ここは自問自島なので、言い切ってしまおうと思ったのだ。私は詩が大好き!!!


数年前、テレビ番組で笹井宏之さんの"えーえんとくちから"が紹介されていて、すごく衝撃を受けて、私の中に眠っている"詩が気になる心"がむくむく出てきて、彼の詩集を夫が持っていたので借りて読んだけど、本で詩を大量に浴びてしまうと、なんだかよくわからなくなって、ワクワクがしぼんだ。

載っている詩をひとつひとつ、気が向いたときに味わえばいいのかもしれないけど、本だから、なんか読み終わりたいというか、全てに目を通したくなってしまって、でもそれだとただ文字をひたすら追って、味わわずにそのままこぼれ落ちてゆく感じになってしまって、詩集って、詩って、やっぱりわからないなあと思ってしまったのだった。

そこからまたしばらくして、娘が生まれて、日々童謡を歌ったり、絵本を読んだりしていくなかで、詩人の名前に出会うことが多くなり(まどみちおさんなんてしょっちゅう出てくる)、また詩が気になり始めた。

そして、夫に聞いてみた。
良い詩ってなんなの?どうすれば詩集が出せるくらいになるの?と。

すると、投稿することが大事だと言われた。

その答えにハッとした。そうだよね、本屋さんに並ぶ詩集は、出版社が出していて、ということはそれの元になる詩を投稿する雑誌があって、そこに投稿された作品の中から、編集部の人がどれを載せるかを決めるんだよね。編集部との繋がりなんだよね。

詩ってロマンティックなものだから、なぜかそういう現実的な流れみたいなものが抜け落ちていた。良い詩は、あまりに神々しくて、勝手に泉の底からざぶんと浮かび上がってきて、それをみんなが見つけてしまうのだと思っていた。ラジオのハガキ職人とか、漫画家に置き換えて考えてみれば簡単に想像がつくのに!

そういうことを話していたら、夫が松下育男さんの詩の教室という本を貸してくれた(※夫はべつに詩人ではない、念のため)。

それを読んで(未だに読み終えてはないんだけど)、私って、詩の良し悪しがわからないとか思ってたけど、そもそも良い詩しか知らないんだ!ということに気づいて衝撃だった。そして、詩にもルールがあるってことも知った。なんかもっとみなさん、感情のままに、自由に書いているものだとばかり…。すみませんほんとに…。

また、同時期に、パタリーさんのインスタを通じて詩人のぼくいずみさんという女性を知って、自分の中で詩人って昔の人ってイメージだったけど、こうして同世代の女の子だって詩を描いているんだなあと思って、より一層詩を身近に感じて、もっといろんな詩が読みたいなと思って、詩集をたくさん買い集めた。

そして、そんなとき、詩とは全然関係ないところから、ミュベールの2024年クルーズコレクションのテーマが詩人の立原道造さんだと知った。

"昭和初期に活躍しながら夭逝した詩人として知られる立原道造。
透明な言葉で心の声を綴る彼の詩は、普遍的な作品として今も愛されています。
文学的才能を若くから開花させた立原は、将来を嘱望される建築家でもありました。 生前構想していた週末住宅「HAUS-HYAZINTH(ヒアシンスハウス)」は、彼の死後半世紀以上を経て建てられます。
建築と自然が共存する北欧建築を意識した湖畔に佇む小さな別荘と、若き詩人の言葉の音楽が醸す抒情詩の数々。
2024 CRUISEは、立原道造が描く美しい音色を奏でる透きとおった風景をワードローブに投影します。
チュールやオーガンジー、共生地の刺繡モチーフで繊細さと透明感を表現。ギャザー・タックを使用して衣服にソネットのリズムを生みだしました。建築だけでなく詩でも重要なモチーフとして登場する窓は、オリジナルレースで出窓モチーフを制作。衣服と同色のリボンやビーズ刺繍を用いてときめきを添えています。
ロマンティックなフェミニンスタイルに澄んだ風を纏って。
わたしたちのすぐそばにある春の情景にみずみずしく溶け込むコレクションを提案します。"

ミュベール公式サイトより引用

コレクションの服たちがとても素敵でうっとりした。そして私はこの詩人を知らなかったけど、ミュベールのサイトに載っていた詩や、説明文にあったヒアシンスハウスに自分のコンセプトに通ずるものを感じて惹かれて、早速詩集を買って読んでみたら、やっぱり素敵で…。

ぜひ今回のコレクション、特に出窓のレースのデザインのアイテムが欲しい!!と思った。

でも、ミュベールですから、ほいと買えるお値段でもなく、サクッと見に行ける感じでもなく…。

しばらく見ないふりをしていた。

そして夏がきて、ミュベールのサイトを開いたらなんとコレクションがセールになっていた。ぬおおおと悩んで、ぬおおおおとバッグを買った。

実物を見ないで買うなんて、セールで買うなんて、しかも小物だなんて!!邪道かしら!!と思ったけど、届いたらやっぱり素敵で、そんなことは気にしないことにした。早速お出かけの時にそのバッグを使った。いつもよりきれいな気持ちで歩けた。すごく幸せだった。こんな形ではあるけど、ミュベールデビューできたのも嬉しかった。ミュベールのコンセプトは、"MADE IN DREAMLAND / 風になって"で、今の自分にすごく合っていると思うから。

MADE IN DREAMLAND / 風になって

子どもの頃を思い出すような服を、作りたいと思っています。

動物と話をしたり、未来に行ったり、
深海に潜ったり、架空の存在と心を通じ合わせたり。
夢の世界との行き来が普通にできていた頃、
私たちの心は、もっと自由で、開けていて、
ひとりでいるときも、傍にはいつも誰かがいて、
助けが必要なときはそっと手を差し伸べてくれました。

大人になったいまでも、服を着ることで
あのときめきを、感じた温もりを思い出せる。
物語の中で遊んでいる、そんな気分になれる一着を
MUVEILはお届けしたいと思っています。

手仕事の温もりを大切にすること。心地いい素材を使うこと。
環境に思いを馳せること。ユーモアを忘れないこと。
一点一点、細部まで気を配ったものづくりを行うこと。

MADE IN DREAMLAND
いつかヴィンテージになる日まで、
私たちの作る服が、いつもあなたに寄り添い、
その心を湧き立たせる風になれますように。

ミュベール公式サイトより引用


余談だけど、購入したバッグのデザインについては、公式サイトにこのように書かれていて、

"立原道造が大切にしていた窓を
オリジナルレースで制作しました。
光が降り注ぐ大きな出窓をイメージして
大胆なカットレースで表現。
窓には花を飾ることが大切と語った
立原氏のお気に入りだった、
アザミ・ヒナゲシ・ヒヤシンスの花を
モチーフに取り入れています。"

ミュベール公式サイトより引用

私も窓辺にお花を飾らなくては!と思った。

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川口ちゃん
信じないことが信条🍤